ミャンマー軍政が非常事態宣言を解除、行政機関再編へ、内戦続く中

軍政は25年12月に総選挙を行うと主張しているが、国土の半分以上を反体制派に占領された状態で行えるかは不明である。
2025年3月27日/ミャンマー、首都ネピトー、国軍創設80周年記念パレードの様子(AP通信)

内戦下のミャンマーを統治する軍事政権が7月31日、非常事態宣言を解除し、年末に予定されている総選挙の準備のために行政機関を再編すると発表した。

軍政は21年2月のクーデター後に非常事態を宣言、何度も延長してきた。

軍政は1月31日にこの期間を6カ月間延長、7月31日深夜に期限切れとなる。

軍政は25年12月に総選挙を行うと主張しているが、国土の半分以上を反体制派に占領された状態で行えるかは不明である。

反体制派は軍主導の選挙を「茶番」と一蹴。フライン(Min Aung Hlaing)総司令官を含む軍指導部に内戦の責任を負わせるまで戦い続けると誓っている。

緊急事態宣言は軍にすべての政府機能を掌握する権限を与え、軍事評議会の議長であるフライン氏に立法、司法、行政の全権限を付与していた。

軍報道官はテレビ演説で、「選挙は非常事態が解除されてから6カ月以内に実施されるだろう」と語った。

また報道官は「既存の行政機関は解散し、すべての政府機能は国防安全保障会議に引き継がれている」と述べた。

軍政は30日、総選挙に先立ち、新たな選挙法を公布。選挙を妨害する過程で死者を出した者は死刑に処される可能性がある。

軍指導部は21年2月、前年の選挙で圧勝した国民民主連盟(NLD)のアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏やウィン・ミン(Win Myint)大統領らを拘束した。

軍は20年の選挙で大規模な不正が行われたと主張し、クーデターを正当化しようとしたが、選挙監視団は重大な不正は見つからなかったと非難している。

フライン氏が署名した新法は選挙プロセスを妨害する目的で演説し、発言し、組織し、扇動し、抗議し、または文書を配布する者に3~10年の懲役刑および罰金を科すとしている。

また選挙管理委員会の職員、候補者、有権者を脅迫、妨害、虐待、またはひどく傷つけた者は3年から終身刑を宣告される可能性がある。

投票用紙や関連する建物や構造物など、選挙に使用される設備や資材を破壊または損壊した者は5年から終身刑に処される可能性があるとしている。

そして、「その行為で死者が出た場合、関与した者に死刑を宣告する」としている。

軍政は多方面から攻撃を受け、追い詰められている。

シャン州を支配する「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」とTNLA、「アラカン軍」、カレン州の少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」、チン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は23年10月、中国国境に近い北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した。

これらの反体制派は民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」や「人民防衛軍(PDF)」と連携し、国土の半分以上を掌握。軍政に圧力をかけている。

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