ミャンマー軍事政権、3億ドル相当の違法薬物を焼却処理
ミャンマーでは軍事政権が発足した21年から23年にかけて、アヘンの栽培量と生産量が増加。同国では現在も反体制派と軍政による戦闘が続いている。
.jpg)
ミャンマーの軍事政権が26日、全国各地で押収された3億ドル相当の違法薬物を燃やした。
ミャンマー国営放送(MRTV)によると、最大都市ヤンゴンなどでアヘン、ヘロイン、メタンフェタミン、マリファナ、ケタミン、クリスタルメタンフェタミンなどが焼却、埋葬されたという。
ヤンゴン警察の長官は刺激臭が漂う中、「これらの薬物の取引は違法である」と語った。
ヤンゴンの焼却会場では1億1700万ドル相当の麻薬の山に火がつけられた。
第2の都市マンダレーや東部シャン州などでも同様のイベントが開催された。多くの生産拠点がある反体制派の支配地域では行われなかった。
MRTVは押収された66種類の麻薬が全て処理されたと報じた。
ミャンマーでは軍事政権が発足した21年から23年にかけて、アヘンの栽培量と生産量が増加。同国では現在も反体制派と軍政による戦闘が続いている。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)は先月末、東南アジアにおけるメタンフェタミンを含む違法薬物の取引が急拡大し、押収量が過去最高水準に達する見通しであると明らかにした。
メタンフェタミン(俗称メス、スピード、チョークなど)はアンフェタミンより依存性が強く、簡単に作ることができるため、ヘロインに取って代わり、東南アジア・中東・西欧で流行。最も入手しやすい薬物のひとつになった。
東南アジアにおける24年のメタンフェタミンの押収量は236トンに達し、23年比で24%増加した。
ミャンマーではメタンフェタミン錠剤が1錠あたりわずか0.60米ドル(約87円)で取引されている。
隣国のタイでは昨年、約10億錠のメタンフェタミン錠剤が押収された。
UNODCによると、メタンフェタミンの多くがゴールデントライアングルから世界中に密輸されている。
ゴールデントライアングルはタイ、ミャンマー、ラオスの国境地帯の通称で、違法薬物の製造・取引の拠点になっている。
ゴールデントライアングルの政情は不安定で、ミャンマーの政変と内戦が麻薬の生産・密売増に拍車をかけているとみられる。
UNODCは報告書の中で、「ミャンマーのシャン州を含むゴールデントライアングルで前例のないレベルのメタンフェタミンの製造と密輸が確認されている」と指摘した。
それによると、メタンフェタミンは工業規模での製造が容易なため、ヘロインに代わり、ゴールデントライアングルの主要薬物になったという。