◎スーチー氏は昨年2月の軍事クーデター以降、首都ネピドーの自宅と思われる非公開の場所に軟禁されていた。
ミャンマーの軍事政権は23日、アウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏を刑務所に移送したと発表した。
スーチー氏は昨年2月の軍事クーデター以降、首都ネピドーの自宅と思われる非公開の場所に軟禁されていた。
軍事政権の支配下に置かれている秘密裁判所はスーチー氏に禁固11年を宣告しており、その他の裁判を含めると190年以上の禁固刑を言い渡す可能性がある。
スーチー氏は旧軍事政権時代にも15年間拘留され、そのほとんどを自宅軟禁下で過ごした。
AP通信は情報筋の話を引用し、「スーチー氏は22日に刑務所内の特別施設に移された」と報じた。スーチー氏らと一緒に拘束されたウィン・ミン(Win Myint)大統領も独房に監禁されている。
AP通信などによると、スーチー氏の健康状態は良好で、3人の女性刑務官の支援を受けているという。
軍事政権は23日の声明でスーチー氏を刑務所に移したと認め、移送はミャンマーの刑法に基づいていると主張した。
西側諸国はスーチー氏の秘密裁判を「甚だしい人権侵害」と非難している。非公開裁判の情報は公にされず、スーチー氏の弁護士はメディアやジャーナリストと話すことを禁じられている。
AFP通信は情報筋の話を引用し、「スーチー氏の家政婦と愛犬は同行を許可されなかった」と報じた。
国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理、ロバートソン(Phil Robertson)氏はAFP通信の取材に対し、「ミャンマー軍は民主派勢力を叩き潰すために、アウンサンスーチー氏を痛めつけ、見せしめにしている」と語った。
クーデターはスーチー氏の国民民主連盟(NLD)が総選挙で地滑り的勝利を収めた数カ月後に発生した。
軍は総選挙の結果に異議を唱えたが、独立した選挙監視団は「投票はほぼ自由かつ公正であった」と評価している。
軍はクーデター後に発生した全国規模のデモを弾圧し、約2000人を殺害、1万4000人以上を拘束している。
農村部の少数民族は軍相手にゲリラ戦を展開し、いくつかの地域では今も戦闘が続いているとみられる。