◎人身売買組織はインドネシア人にタイで高収入の仕事があると騙し、代わりにミャンマーでサイバー犯罪を強制していた。
インドネシア当局は7日、ミャンマーでサイバー犯罪に強制的に加担させられていた自国民20人を保護したと発表した。
インドネシア外務省は声明で、「在ミャンマー・インドネシア大使館が地元当局の助けを借りて、ネット詐欺を強いられていた自国民20人を保護した」と述べている。
タイ・バンコクの在インドネシア大使館も別の声明で、「関係当局と連携して、被害者をミャワディからインドネシアに移送した」と明らかにした。
ミャワディはミャンマーの南東部、タイと国境を接し、ミャンマー軍政と反政府勢力による戦闘が繰り広げられている。
インドネシア外務省の報道官は声明の中で、「人身売買組織はインドネシア人にタイで高収入の仕事があると騙し、代わりにミャンマーでサイバー犯罪を強制していた」と説明。その一部は詐欺だけでなく売春も強要されていたようだ。
この被害者とされる1人が先月、ソーシャルメディアに助けを求める動画を投稿し、インドネシアで注目を集めた。その動画には狭い部屋に押し込まれた数十人がほぼ毎日暴力に直面し、ネット詐欺を強制されていると助けを求める姿が映っていた。
ある男性は「私たちを助けてください」と懇願し、別の人は「ある会社から別の会社に異動させられ、ミャワディに8カ月間閉じ込められている」と訴えた。
被害者によると、ネット詐欺で成果を上げられなかった人は拷問を受けたり殴られたりしたという。
インドネシア当局は被害者がミャンマーの入国管理システムに登録されていなかったことから、違法な手段で国境を越えたとみている。
インドネシアのジョコ(Joko Widodo)大統領は4日の記者会見で、「外務省に被害者救出のために全力を挙げるよう命じた」と述べていた。
20人が解放された経緯は明らかにされていないが、ミャンマー軍政の許可を得て捜査に当たったとみられる。
インドネシア大統領府は声明で、「当局はミャンマー、カンボジア、タイ、ベトナム、ラオス、フィリピンでサイバー犯罪を強制されているインドネシア人を保護する取り組みを進めている」と明らかにした。