ミャンマー総選挙、26年1月末に第3段階の投票実施=国営メディア
今回の選挙は、2021年2月の軍事クーデター以来初めて実施される総選挙として注目されているものの、国際社会や人権団体からは強い疑念や批判が寄せられている。

ミャンマーの軍事政府は26日、来年1月25日に総選挙の第3段階の投票を実施すると発表した。ミャンマー国営放送(MRTV)によると、この投票は分割して行われる選挙プロセスの最終段階となる。第1段階の投票は12月28日、第2段階は1月11日に予定されており、これらを合わせて全国330の選挙区のうち202選挙区で投票が計画されている。第3段階では残る63選挙区で投票が実施される見込みだが、開票日や選挙結果の発表日は明らかになっていない。
今回の選挙は、2021年2月の軍事クーデター以来初めて実施される総選挙として注目されているものの、国際社会や人権団体からは強い疑念や批判が寄せられている。クーデター後、民主化運動の指導者アウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏の政党である国民民主連盟(NLD)は解党に追い込まれ、多くの野党政治家が拘束されたか国外に逃れた。選挙に参加する政党の多くは軍政寄りであり、公正で自由な選挙になるとの見方には懐疑的な声が強い。
軍政は選挙を「安定と平和への道」と位置づけ、内戦を政治プロセスを通じて解決する機会と主張している。しかし現実には、強権的な選挙法が制定され、反対意見や異論を封じ込める動きが強まっている。軍政下で成立した選挙妨害防止法により、選挙過程に対する批判や妨害行為を行ったとして、多数の市民や活動家が逮捕・起訴されている。批判者はこの法律が市民の基本的権利を奪うものであると指摘している。
また、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)などの国際機関も、選挙前の弾圧や暴力、投票の強制について懸念を示している。OHCHRは「選挙は暴力と抑圧が蔓延する環境下で行われている」として、住民に対する脅迫や恣意的拘束を直ちに停止するよう軍政に求めた。こうした批判は、選挙が民主的手続きを通じて実施されるとの主張と大きく隔たっていることを浮き彫りにしている。
ミャンマー国内では依然として多数の武装勢力が国軍と対立し、特に少数民族地域では治安が不安定な状況が続いている。こうした地域では選挙実施が困難であり、軍政は「治安上の理由」で投票を実施しない地域を設定してきた。このため、選挙の範囲が制限される形となり、全土での包括的な政治参加が実現するかどうか疑問視されている。
一方、軍政は選挙を通じて国際的な正当性を獲得し、長引く内戦に対する支持基盤を国内外に示したい考えだ。軍指導部は選挙の透明性と公正性を強調しているが、国際社会の懸念は根強く、選挙の正当性を巡る議論は今後も続く見込みである。
ミャンマーの政治環境は複雑であり、この選挙が将来の安定や民主化に寄与するのか、あるいは軍政の統治を強化する手段に過ぎないのかは評価が分かれている。国内外の注目が集まる中、1月25日の第3段階投票の実施はミャンマー情勢の重要な節目となる。
