ミャンマー総選挙迫る、民主派勢力が「沈黙ストライキ」呼びかけ
民主派勢力は人権デーにあたるこの日にあわせて、午前10時から午後3時まで「沈黙のストライキ」を行うよう促し、市民に対し、自宅にとどまるよう求めた。
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ミャンマーの軍事政権と対峙する民主派勢力は10日、今月末に予定されている総選挙に先立ち、市民に対し、投票に参加しないよう改めて呼びかけた。
民主派勢力は人権デーにあたるこの日にあわせて、午前10時から午後3時まで「沈黙のストライキ」を行うよう促し、市民に対し、自宅にとどまるよう求めた。
現地メディアによると、多くの市民がこの呼びかけに応え、最大都市ヤンゴンでは普段の喧騒が消えたという。
反軍政派がこのような市民レベルの抵抗に踏み切った背景には、12月28日に実施予定の総選挙に対する強い不信感がある。彼らは今回の選挙が公正でも自由でもない「軍政の正当化」を狙ったものだと批判している。2021年にアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏率いる文民政権が軍によって崩されて以来、ミャンマーでは反対勢力への弾圧や民主派政党の締め出しが続いており、民主主義の復活は遠のいているとの見方が強い。
先週には同国第2の都市マンダレーで反選挙デモが行われた。このデモに参加したとして、著名な民主活動家10人が新しい選挙法の下で「選挙妨害」の罪で起訴されている。
当局は選挙反対を呼びかけるビラを市場周辺で配布したことなどを理由にあげている。違反すると最大10年の禁錮刑に処される可能性がある。
マンダレーのデモを主導した活動家たちは現在でも「市民の民主化を求める意志は衰えておらず、恐怖に屈したわけではない」と強調。軍の圧政に対する根強い反発が存在することを改めて示した。
一方で、当局は商店主に対し「ストライキのための休店は認めない」と警告するなど、強圧的な姿勢を見せており、反対派への締め付けを強めている。こうした法的・行政的圧力にもかかわらず、今回の「沈黙ストライキ」は国内外に対し、選挙の正当性を問い直す明確なメッセージとなった。
今回の動きは軍が主導する選挙に対し、武力行使や街頭デモだけでなく、市民の「拒否」をもって抵抗する新たな形の抗議だ。選挙日まで残りわずかとなる中、ミャンマーの緊張はさらに高まりそうだ。
