◎地元メディアによると、治安部隊はマルワゴーン駅と鉄道労働者の宿舎がある地区を封鎖したという。ソーシャルメディアでは、治安部隊の封鎖措置から避難する市民の写真や動画が複数共有されている。
3月10日、ミャンマーの治安部隊は軍事クーデターにストライキで抗議しているマンダレーの鉄道労働者を襲撃した。
地元メディアによると、治安部隊はマルワゴーン駅と鉄道労働者の宿舎がある地区を封鎖したという。ソーシャルメディアでは、治安部隊の封鎖措置から避難する市民の写真や動画が複数共有されている。地元メディアは少なくとも3人が逮捕され、鉄道労働者たちは宿舎から退去するよう命じられたと報じた。
治安部隊は最大の都市ヤンゴンやマンダレーなどでゴム弾、催涙ガス、スタングレネード、実弾などを使用し、市民を威嚇した。地元メディアやソーシャルメディアの報道によると、10日だけで少なくとも200人が逮捕されたという。
ミャンマー鉄道労働組合連盟を含むいくつかの組合組織は、全国規模のストライキを求める共同の呼びかけを先日発表しており、軍はこれに強く反発していた。
一方、国連安全保障理事会は全会一致でミャンマー軍の撤退と平和的な抗議者に対する暴力の停止を求める声明に合意した。この声明に強制力はないが、国連の公式の呼びかけは軍の行動に影響を与えると期待されている。
国連の当局者によると、初期の草案はより強力な文面になっていたが、常任理事国のロシアと中国、ミャンマーの隣国インド、そして東南アジア諸国連合(ASESA)加盟国のベトナムが異議を唱えたため、文章の内容は大きく見直されたという。
治安部隊は取り締まりを強化しているが、この日もヤンゴン、マンダレー、ダウェイ、ミッチーナー、バゴー、カロウ、ミンジャンなどの都市や町などに数万人が集まった。
ダウェイの警察は抗議者に催涙ガス弾を撃ち込み、ゴム弾を使用したと伝えられているが、ケガ人は報告されていない。
第二の都市マンダレーでは約1,000人の僧侶が抗議に加わった。僧侶たちは「平和的に抗議する」と書かれた看板やプラカードを掲げていた。マンダレーでも治安部隊との衝突は報告されていない。
国内の逮捕者情報を監視する政治囚人支援協会によると、2月1日の軍事クーデター以来、少なくとも60人の抗議者が殺害されたという。現在、軍は報道機関の放送ライセンスを停止し、国営メディア以外の報道の停止を目指している。
鉄道労働者のストライキはクーデター発生直後に始まった。
これに対し治安部隊は先月、マンダレーの鉄道労働者の宿舎近くで威嚇射撃を繰り返し、ストライキを中止するよう脅迫した。
軍の支配下に置かれている国営放送ミャンマーラジオTV局(MRTV)によると、ヤンゴンとマンダレー間の鉄道輸送は「近い将来」再開する予定だという。また、銀行の取引に影響が出ていることも初めて認めた。
言論統制に直面している地元メディアのひとつ、ビルマ民主の声(DVB)は10日のオンライン放送で、ヤンゴン北部のインセイン刑務所に収容された抗議者1人が死亡したと報じた。伝えられるところによると、同刑務所には一連の抗議活動で逮捕された市民数百人が収容されているという。
また別のメディアは9日の放送で、抗議活動に参加し逮捕された学校の校長先生が治安部隊の拷問を受け死亡したと報じた。数日前には国民民主連盟(NLD)の職員も拘留中に死亡しており、ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、亡くなった職員の身体には拷問の跡と思われる複数の傷があったという。
政治囚支援協会によると、抗議活動関連の逮捕者は1,900人を超えたという。また、AP通信や地元メディアのジャーナリスト数十人も逮捕された。軍は逮捕したジャーナリストを起訴し、最高3年の懲役刑を科すと脅迫している。