◎ソーシャルメディアで共有された映像には治安部隊が至近距離から市民を撃つ場面などが映っていた。
2021年3月4日 AP通信/ミャンマー、ヤンゴン

3月4日、ソーシャルメディアなどで共有されたミャンマーの治安部隊による残忍な取り締まりの映像は国際社会の怒りを引き起こした。

映像には治安部隊が市民を至近距離から撃つ場面などが映っていた。

治安部隊は3月3日の取り締まりで少なくとも38人を殺害し、ボランティアの医療従事者を警棒で殴りつけ、数百人を拘束した。

米国務省はミャンマー軍の残忍な取り締まりを非難し、国連の人権責任者は「民主主義に対する軍の攻撃を終わらせる時が来た」と述べ、人権の専門家たちは安全保障理事会で映像を公開するよう促した。安保理は3月5日に非公開協議を開催する予定。

国連のミャンマー特使、クリスティン・シュラナー・バーゲナー氏は3日の弾圧を「最も血なまぐさい日」と表現した。同氏は3日の取り締まりで少なくとも38人が死亡し、2月1日の軍事クーデター以来、50人以上の平和的な民間人が殺害されたことを確認したと報告している。

バーゲナー氏はニューヨークの国連ビルでスイスからビデオリンクを介して会見を行った。
「私は非常に不穏な映像を見ました。1つは治安部隊がボランティアの医療従事者たちを殴打しているものでした。彼らは武装していませんでした。もう1つは治安部隊が抗議者の男性を至近距離、たぶん1mぐらいの距離から撃つ映像でした。彼は抵抗していませんでした。彼は路上で死にました」

ソーシャルメディアでは他にも様々な映像が共有されている。20人ほどの治安部隊が抗議者2人を追いかけまわし、警棒で殴りつけ、腹を踏みつけ、顔を蹴り、チームのひとりはその様子を携帯で撮影していた。

別の映像には、数人の治安部隊が1人の抗議者を繰り返し蹴り、警棒で叩き伏せ、頭を地面に押し付け、サッカーボールを蹴るような勢いで顔を蹴り、その場から立ち去る場面が映っていた。

2021年3月4日 AP通信/ミャンマー、ヤンゴン、抗議者たち

アメリカはミャンマーに制裁を科し、さらに新たな制裁を数日中に発表する予定と伝えられているが、東南アジア諸国連合(ASEAN)は強力な対応を取れずにいる。

国連人権高等弁護官のミシェル・バチェレ氏は、「情報と影響力を持つ全ての人々」に、軍事政権に説明を求めるよう圧力をかけるべきと主張した。

ミシェル・バチェレ氏:
「ミャンマーの民主主義に対する軍の拘束を終わらせる時が来ました。彼らは独立した公式の調査を受けなければなりません」

米国務省のネッド・プライス報道官は「恐ろしい暴力に愕然とした」と非難し、ミャンマーの人権に関する国連の独立専門家であるトム・アンドリュース氏は「ソーシャルメディアには軍事政権の組織的なおぞましい残虐行為が数多く展示されている」と述べた。

安全保障理事会は国連のアントニオ・グテーレス事務総長の要請などに応えるための非公開協議を3月5日に予定している。

しかし、オーストラリア国立大学のミャンマー研究センターのジャスティン・チェンバーズ副所長は、映像と画像は間違いなく強い非難につながるが、軍事政権に対するより強力な行動を実行に移すことは難しいだろうと述べた。

ジャスティン・チェンバーズ副所長:
「残念ながら、残虐行為に対する非難が事態を劇的に改善させることはないと思います。そして、コロナウイルスの感染拡大およびそれに関連する経済問題を考慮すると、各国の市民は、より強力な行動、すなわち軍事介入は望まないでしょう

安保理の常任理事国であるロシアと中国はほぼ確実に拒否権を行使するため、国連主導の行動が実行される可能性は低い。

安保理が行動を起こしたとしても、国連のミャンマー特使のバーゲナー氏は大きな効果をもたらすことは難しいかもしれないと警告した。バーゲナー氏は、「安保理とその他の関係国は非常に強力な措置(軍事介入)を講じる可能性があるとミャンマー軍に警告しなければならない」と主張した。

市民は4日も各地で抗議を継続している。18人の死亡を確認した最大の都市ヤンゴンに集まった市民は幹線道路にバリケードを設置し、治安部隊の攻撃に備えた。第二の都市マンダレーでは戦闘機が上空を飛行し、市民を威嚇した。

2021年3月4日 AP通信/ミャンマー、ヤンゴン、バリケードを設置する抗議者たち
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