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ミャンマー議会、軍主導の新内閣を承認、閣僚の大半が軍人


この内閣構成は、形式上は選挙を経て発足した「民政移管」を装いながら、実質的には軍の支配が継続していることを強く示唆するものだ。
2026年4月9日/ミャンマー、首都ネピドーの国会(AP通信)

ミャンマーで新たに発足した政権の閣僚人事が承認され、軍出身者が多数を占める構成が明らかとなった。議会が9日に承認した内閣は、2021年のクーデター以降続く軍の支配体制が依然として強固であることを示す内容となっている。

今回の人事は軍政トップから大統領に就任したフライン(Min Aung Hlaing)総司令官の下で組閣されたもので、30人の閣僚のうち大半が元軍幹部や軍関係者、あるいは前政権からの留任者で占められている。報道によると、少なくとも24人が現役または退役軍人、もしくは軍系政党に関係する人物で、18人は前の軍政でも閣僚などを務めていた。

この内閣構成は、形式上は選挙を経て発足した「民政移管」を装いながら、実質的には軍の支配が継続していることを強く示唆するものだ。主要ポストである国防や外務などの重要省庁も、軍出身者や軍と密接な関係を持つ人物が担い、政策決定における軍の影響力は依然として大きい。

今回の政権発足の前提となった総選挙自体も、国際社会から強い批判を受けている。選挙は野党勢力の参加が制限される中で実施され、多くの地域で内戦の影響により投票が行われなかった。そのため、公正性や代表性に欠けるとの指摘が相次ぎ、東南アジア諸国連合(ASEAN)なども結果の正統性を認めていない。

ミャンマーでは2021年2月のクーデターで民主政府が崩壊し、軍が実権を掌握した。その後も国内では民主派勢力や少数民族武装勢力との戦闘が続き、事実上の内戦状態が続いている。多数の死者と避難民が発生し、政治的・人道的危機が長期化している。

こうした状況の中で行われた今回の政権移行は、軍が国際的な批判をかわしつつ統治を正当化する狙いがあるとみられている。形式的には大統領制と議会を備えた体制に移行したものの、実態としては軍関係者が「文民の衣」をまとって統治を続ける構図であるとの見方が強い。

また、新政権では副大統領にも元軍人が就任し、政権中枢はほぼ軍出身者で固められている。こうした人事は政策の継続性を確保する一方で、民主化の進展を期待する国内外の声とは大きく乖離している。

国内では依然として軍政への抵抗が続いており、民主派が樹立した「挙国一致政府(NUG)」や各地の武装勢力が対抗している。軍側は統治の安定を強調するが、広範な地域で実効支配が及んでいないとの指摘もある。こうした中で新政権がどこまで統治能力を発揮できるかは不透明である。

さらに、人権問題も国際的な懸念事項となっている。軍による弾圧や拘束、少数民族に対する暴力行為などが多数報告され、一部の関係者には制裁が科されている。今回の閣僚の中にも過去の行為を理由に国際的な批判を受けている人物が含まれている。

今回の内閣承認はミャンマーが表向きの政治体制を整えつつも、実質的には軍主導の統治が続く現実を改めて浮き彫りにした。民主化への道筋は依然として見通せず、内戦状態と政治的分断が続く中で、国の将来像は不透明なままである。国際社会の対応や国内の抵抗運動の行方が、今後の政治情勢を左右する重要な要因となりそうだ。

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