ミャンマー軍政、選挙法違反で200人以上を起訴、総選挙迫る
軍政によると、229人(男性201人、女性28人)が140件の選挙妨害容疑で逮捕・起訴されたという。
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ミャンマーの軍事政権は17日、今月末に予定されている総選挙を控え、選挙法に違反したとして200人以上を起訴したと明らかにした。この措置は反対勢力への圧力を強めるものであり、国内外から選挙の公正性への疑念が強まっている。
軍政によると、229人(男性201人、女性28人)が140件の選挙妨害容疑で逮捕・起訴されたという。
今年7月に軍政下で制定された新たな選挙法は選挙過程の妨害行為に対して厳しい罰則を定めている。演説や組織活動、抗議、ビラ配布などを通じて選挙を混乱させたと当局が判断すれば、3~10年の禁固または罰金が科されるほか、重大な違反行為には死刑が適用される可能性もある。
国営メディアによると、起訴されたのは映画製作者、俳優、コメディアン、若者、さらには反政府勢力に属する人々など多岐に渡るという。また、市民防衛隊と呼ばれる民主化支持の民兵組織や、武装組織のメンバーも含まれているとしている。
起訴理由は選挙ポスターの破壊、選挙関係者への脅迫・拘束、ソーシャルメディアへの投稿など多様で、49年の禁固刑を言い渡された者もいるとの情報もある。
この動きは2021年2月のクーデターで文民政府が打倒されて以降、国際的に批判され続けている軍政による締め付けの一環である。クーデター後、国内では広範な反軍政運動が勃発し、内戦に発展。各地で激戦が続いている。総選挙はこうした混乱の中で実施される予定であり、選挙の正当性を巡る論争が激化している。
反対派はこの選挙が「自由かつ公正」とは程遠いと指摘している。アウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏やウィン・ミン(Win Myint)大統領が率いた国民民主連盟(NLD)は2023年に解党を強いられ、選挙に参加できない状況にある。このため、軍政寄りの政党が優勢になるとの懸念が強く、選挙が軍政の正当性を強化する装置として利用される可能性が指摘されている。
軍政側は選挙に対する国際社会の評価について関知しないとの立場を示している。軍政報道官は17日、「国際社会が満足するか否かは重要ではない。選挙はミャンマーのために行うものであり、批判は受け止める」と述べ、軍政は「多党制民主主義への回帰」を追求していると主張した。
しかし、人権団体や国際機関は選挙準備の透明性と反対勢力への弾圧、そして内戦の激化に懸念を表明している。選挙日が近づく中、国内では抗議活動や武力衝突が続き、選挙実施の安全保障上の課題も深刻である。今後の動向が選挙にどのような影響を与えるかが注目されている。
