◎ロイター通信によると、2月1日早朝にミャンマー軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー氏と他の政府高官を拘束したという。司令官は陸軍のミン・アウン・フライン氏。
◎アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)は昨年、2011年の軍事政権終了以来2回目となる選挙で有効票の83%を獲得し、圧倒的な勝利を収めた。一方、軍の支援を受ける連邦団結発展党は、476議席中33議席の獲得にとどまった。
2021年1月 ロイター通信/ミャンマー、アウンサンスーチ―氏

ロイター通信によると、2月1日早朝にミャンマー軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー氏と他の政府高官を拘束したという。

その後、軍が所有する通信局(MyawaddyTV)は放送の中で、「軍は昨年の不正選挙に対処するために、主要な政治指導者を拘束し、非常事態を宣言した」と述べた。

ロイター通信によると、権力は陸軍のミン・アウン・フライン司令官に移ったという。

ミャンマー(ビルマ)は、2011年に民主的な改革が始まるまで、軍によって統治されていた。

伝えられるところによると、兵士たちは首都ネピドーと主要都市のヤンゴンの通りに待機しているという。

軍は、新しい議会の会合が始まる数時間前に政権を奪取したと発表した

与党、国民民主連盟(NLD)のスポークスマンはCNNニュースの取材に対し、「国家顧問のアウンサンスーチーと他の政府高官は首都ネピドーに拘留されている。軍は今、首都を支配しているようだ」と語った。

スポークスマンによると、シャン州、カヤー州などの上級指導者数名も襲撃を受け、拘束されたという。

1日早朝、ミャンマーの主要なニュースチャンネルは放送を停止し、インターネット通信にも混乱が生じたと報告されている。

先週、軍のスポークスマンは、「2020年11月の選挙における不正投票の疑いに関する軍の主張を無視すれば、クーデターも起こりうる」と示唆していた。

アウンサンスーチー氏率いるNLDは昨年、2011年の軍事政権終了以来2回目となる選挙で有効票の83%を獲得し、圧倒的な勝利を収めた。一方、軍の支援を受ける連邦団結発展党は、476議席中33議席の獲得にとどまった。

選挙委員会は1月28日の声明で、「投票者リストの名前の重複などの誤りは、投票結果に影響を与えるほどのものではなかった」と発表し、軍の主張を却下した。

ロイター通信/ミャンマー、陸軍のミン・アウン・フライン司令官

アウンサンスーチー氏はミャンマーの民主主義の英雄と広く見なされており、軍事政権との数十年に渡る戦いの中で、約15年自宅軟禁下に置かれた。

釈放後、スーチー氏は2015年の選挙で圧勝し、ミャンマー初の文民政府を樹立した。

しかし、近年、同氏の国際的な評判は、ロヒンギャの市民に対する大量虐殺の申し立てによって大きく損なわれている。政府は告発を否定し、テロリストのみを標的にしていたと反論している。

軍事クーデターの可能性が指摘された時、ミャンマーは全国的なインターネットおよび電話ネットワークの混乱に直面した。

世界中のインターネットの通信状況を監視しているネットブロックス(Netblocks)によると、ミャンマーのネットワークデータは1日早朝に持続的かつ大幅な低下を示したという。

ネットワーク可観測性企業、ケンティック社のダグ・マドリー氏は、「ミャンマー全土でインターネットが遮断された」とツイートした。

ロイター通信によると、ミャンマーのMRTVは技術的な問題を抱えており、放送を再開できる見通しは立っていないという。同社はフェイスブックに、「技術的なトラブルの影響で、MRTVとミャンマーラジオの放送が停止していることをお詫びいたします」と投稿した。

各国は軍事クーデターを非難し、深刻な懸念を表明した。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官の声明によると、ジョー・バイデン大統領はジェイク・サリバン国家安全保障補佐官からミャンマーの状況について説明を受けたという。

ジェン・サキ報道官(声明):
「アメリカは選挙の結果を覆そうとする試みおよび、ミャンマーの民主化への移行を妨害する試みに反対する。軍が行動を見直さなければ、責任者に対して行動を起こすだろう。私たちは状況を注意深く監視している」

加藤 勝信官房長官は記者団に対し、「日本は民主的プロセスにのっとり、双方が対話を通じて平和的に問題を解決することが重要と考えている」と述べた。

オーストラリア政府は軍に拘束されているアウンサンスーチー氏と政府高官の即時釈放を求めた。

陸軍のミン・アウン・フライン司令官は、ロヒンギャの市民に対する残虐行為および深刻な人権侵害を主導したとして、2019年12月からアメリカの制裁措置を受けている

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