ミャンマー軍政、空爆した病院は武装勢力の拠点と主張
問題となっているのは同州で反政府ゲリラ「アラカン軍」の支配地域にある病院で、10日夜の空爆により医療関係者や患者を含む34人が死亡、100人近くが負傷したとされる。
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ミャンマー軍は13日、西部ラカイン州で空爆を受け多数の死傷者が出た病院について、「反政府勢力が軍事拠点として使用していた」と主張した。
問題となっているのは同州で反政府ゲリラ「アラカン軍」の支配地域にある病院で、10日夜の空爆により医療関係者や患者を含む34人が死亡、100人近くが負傷したとされる。国際社会からは民間施設への攻撃として強い非難の声が上がっている。
軍事政権の報道官は声明で、この病院は純粋な医療施設ではなく、アラカン軍が兵士の治療や補給、作戦の指揮拠点として利用していたと説明した。また軍は「テロ組織による軍事利用を受けた施設は正当な攻撃対象となる」と主張し、空爆は軍事目標に対する作戦だったとしている。一方で、民間人被害の詳細については言及していない。
これに対し、アラカン軍側は病院が民間人の治療を目的とした施設であり、軍事拠点として使用していたとの主張を否定している。地元住民や医療関係者も当時病院には多くの患者がいたと証言しており、空爆は明らかな国際人道法違反だと訴えている。
国連や国際人権団体は、医療施設は国際法の下で特別に保護されるべき対象であり、いかなる場合でも攻撃は厳しく制限されると指摘した。国連のミャンマー特別報告者は声明で、軍の説明だけでは攻撃の正当性は確認できないとして、独立した調査を求めた。また世界保健機関(WHO)も医療従事者と患者の安全確保を強く訴えている。
ラカイン州ではここ数か月、国具とアラカン軍の戦闘が激化しており、空爆や砲撃による民間人被害が相次いでいる。2021年のクーデター以降、国内各地で武力衝突が拡大し、医療施設や学校など民間インフラが攻撃を受ける事例も増えている。
今回の病院空爆を巡る軍とアラカン軍の主張は真っ向から対立しており、事実関係は依然として不透明だ。国際社会は民間人保護と人道支援の確保を最優先とし、すべての当事者に国際人道法の順守を求めている。
