ミャンマー総選挙、軍政寄り政党が勝利主張、内戦続く中
第1段階の投票は全国330地区のうち102地区で行われ、残る段階は2026年1月11日と同月25日に予定されている。
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ミャンマーで12月28日に実施された総選挙の第1段階について、軍事政権寄りの政党が大勝したと主張している。これは2021年のクーデター以来初となる選挙で、内戦が続く国内情勢の中で3段階に分けて投票が行われる予定だが、最初の投票が終了した時点で軍政側の勢力が有利な結果を示した。選挙管理委員会は12月30日の時点でまだ公式結果を発表していないが、軍系政党の有利が大きく伝えられている。
第1段階の投票は全国330地区のうち102地区で行われ、残る段階は2026年1月11日と同月25日に予定されている。しかし、武力衝突が激しい地域では投票が実施されず、65地区では投票自体が見送られた。こうした不均衡な実施状況が選挙全体の正当性に疑問符を投げかけている。
軍政が支持する政党USDPの幹部は、今回の第1段階で下院の102議席のうち88議席を獲得したと主張した。これは投票が行われた地域に限った集計であり、完全な公式結果ではないが、USDPが85%程度の議席を確保したとの見方が示されている。首都ネピドーでは同党候補が8地区すべての議席を勝ち取ったとされ、多くの住民が軍人や政府職員であることがその背景にあるとみられる。
ミャンマーの国会は二院制で総議席数664、憲法により軍は各院で自動的に25%の議席を確保する仕組みになっている。議会で過半数を握る政党は大統領を選出し内閣を構成できるため、第1段階で優勢を示したUSDPが主導権を握る可能性が高い。最終的な集計結果は1月下旬までに発表される見込みだが、選管が第1段階の総集計を公表するかは不透明な状況だ。
今回の選挙には国政・地域議会合わせて57政党から4800人以上の候補者が立候補しているが、全国規模で影響力を持つ可能性のある政党は6党に限られており、USDPが断トツの強さを保っている。しかし、選挙に関する国民の関心は低く、反対派や人権団体は投票の自由さや公正さに深刻な疑念を示している。投票率は発表されていないが、一部地域では有権者の多くがボイコットを呼びかける動きも見られた。
民主派勢力や国際的な人権団体は、この選挙が自由で公平なものではなく、軍指導部の支配を固定化するための「見せかけ」にすぎないと批判している。指導部は2021年2月のクーデターを主導し、前年の選挙で圧勝したアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏率いる国民民主連盟(NLD)政権を追放した。NLDは2023年に強制的に解散させられ、主要な反対勢力の多くも選挙から排除された。
選挙期間中には武装勢力による暴力も続いている。第1段階の投票日には11の町で政府施設や投票所周辺が攻撃され、少なくとも5人が負傷したとの報告があり、不安定な治安情勢を反映している。戦闘行為や衝突による避難民の増加は選挙の実施をさらに困難にしており、当局は治安対策を強化しながら残る段階の投票を準備している。
ミャンマーの総選挙は国内外で評価が分かれており、民主化の進展につながるのか、軍事支配を合法化するためのプロセスにとどまるのかが今後の注目点となっている。
