◎軍事政権は最大の都市ヤンゴンに装甲車両を配備し、抗議者を威嚇した。
◎現地メディアによると、軍は13日遅くに新たな命令を発効したという。この命令により、セキュリティとプライバシー保護に関する既存の法律は一時停止され、当局は裁判所の命令なしで捜査と逮捕を行えるようになる。
2月14日、ミャンマーを支配した軍事政権は最大の都市ヤンゴンに装甲車両を配備し、抗議者を威嚇した。
現地メディアによると、先日恩赦を与えられた23,000人以上の囚人が軍の命令で何らかの行動を起こす可能性があるという。
軍は装甲車両をヤンゴンに配備した理由を明らかにしていない。ソーシャルメディアには軍の動きに関連する写真や動画が数多く投稿された。
アメリカと日本の大使館は自国民に不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。
一方、軍は通信会社に2月15日の午前1時から午前9時までインターネットを遮断するよう命じた。通信会社はこの通知をソーシャルメディアで共有し注意を促している。なお、15日の午前中に時間を限定している理由は明らかにされていない。
AP通信や英BBCニュースなどの報道機関によると、インターネット遮断命令のリークは正確であることが証明されたという。アメリカ大使館は新たな軍事行動とインターネット遮断の可能性について自国民に警告を発した。
軍事政権は先日、ソーシャルメディアをブロックし、インターネットへのアクセスを約1日間制限したが、市民は脅迫に屈することなく全国各地で数万人規模の抗議を続けている。
国民民主連盟(NLD)のリーダー、国家顧問のアウンサンスーチー氏は未登録のトランシーバーを輸入し所持しているという容疑で自宅軟禁下に置かれている。この言いがかり命令は2月15日に失効し、スーチー氏は首都ネピドーで裁判にかけられる予定。
NLDからアウンサンスーチー氏を弁護するよう求められたキン・マウン・ザウ弁護士は声明で、「スーチー氏が15日に出廷するかどうかは定かではなく、1日遅れる可能性がある」と述べた。ザウ弁護士によると、スーチー氏と連絡を取ることはできなかったという。
先週、首都ネピドーの抗議集会中に銃撃を受けた女性は現在も病院で治療を受けている。ソーシャルメディアにはヤンゴンと第二の都市マンダレーで行われた女性の追悼式の様子が投稿された。関係者によると、女性は脳死する可能性が高いという。
ミャンマーのハッカー集団、BrotherHoodと名乗るグループは、軍の公式サイトMyanmarDigital News Webを乗っ取り、コンテンツを軍事クーデターに反対するメッセージや写真に置き換え、サイバースペースでも抵抗できることを示した。
大規模な抗議集会は都市部から遠く離れた地域でも開催されている。
ヤンゴンの中国と米国大使館周辺に集まった抗議者たちは、共産党指導部が軍事政権を支持していると抗議し、バイデン政権の制裁を称賛した。
米国大使館は13日の声明で、「全国各地で展開されている抗議集会は、ミャンマーの人々が民主主義を望んでいることを示しています。私たちは人々の側に立っています」と述べた。
軍は5人以上の集会の開催を集会禁止命で禁止しており、違反者は6カ月間投獄される恐れがある。しかし、命令発効後も抗議集会は続き、1日あたりの参加者数は全国で数十万人と推定されている。
軍は13日遅くに新たな命令を発効した。
現地メディアによると、この命令は「セキュリティとプライバシー保護に関する既存の法律を一時停止し、当局は裁判所の命令なしで捜査と逮捕を行えるようになる」という。また、「令状なしで電子通信やその他の通信の傍受を許可し、裁判所の許可を得ずに24時間以上関係者を拘留できる」ようになるため、メディアはより厳しい取り締まりに移行する可能性が高いと報じた。
ソーシャルメディアによると、14日の抗議集会に州の鉄道関係者が多数参加し、ストライキを開始するという情報も伝えられている。なお、ストが始まるかどうかは不明。
一部の地域では軍事政権が野に解き放った囚人を警戒し、独自の見回りグループ(自警団)を設立したと伝えられている。
恩赦を受けた犯罪者の中には、「仏教ビンラーディン」と呼ばれる民族主義の僧侶と、2017年にアウンサンスーチー氏を拘束するために政府顧問を殺害した危険人物が含まれているが、彼らがどのような形で釈放されるかは明らかにされておらず、確認することも困難と考えられている。なお、犯罪者を釈放し恐怖を掻き立てる戦法は軍事クーデターの常套手段のひとつである。
ミャンマーの政治犯支援協会によると、軍事クーデター以来、384人の政治家、政府職員、公務員、活動家などが拘束され、そのうち360人は拘束されたままだという。