◎スーチー氏はトランシーバーの輸入やコロナの規則に違反した容疑などで起訴されている。
6月14日、軍事クーデターで打倒されたミャンマーの元指導者アウンサンスーチー氏の裁判が始まった。
スーチー氏はトランシーバーの輸入やコロナの規則に違反した容疑などで起訴されている。現地メディアによると、今回の裁判は汚職と公務秘密法違反に焦点が当てられる予定だという。
野党と人権団体は裁判を非難したうえで、「軍事政権は罪をでっちあげ、スーチー氏を政界から完全に追放しようとしている」と述べた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは14日、首都ネピドーの特別裁判所で審理されている申し立ては、昨年の民主的な総選挙を無効にし、スーチー氏を政界から完全に追放することを目的としていると述べた。「裁判の動機は政治的、スーチー氏の罪は全て偽りです。軍事政権は民主的な選挙を取り消し、自分たちの都合の良い結果に書き直そうとしています」
スーチー氏は2月1日の軍事クーデターで拘束されて以来、ほとんど公の場に姿を見せておらず、5月24日に首都ネピドーの裁判所に初出廷してが、肉声は公開されなかった。
<アウンサンスーチー氏にかけられている容疑>
・汚職罪:最長15年の実刑
・公務秘密法違反:最長14年の実刑
・輸入法違反(トランシーバーの輸入):最長3年の実刑
・電気通信法違反(トランシーバーの輸入):最長1年の実刑
・自然災害法違反(2件):それぞれ最長3年の実刑
・扇動罪:最長3年の実刑
扇動罪の裁判は6月15日に始まると伝えられている。専門家は扇動罪で有罪を言い渡されれば、公務秘密法も有罪になる可能性が高いと指摘した。
軍事評議会は10日、「スーチー氏は現金60万ドルと金の延べ棒7本(約11kg)を受け取った汚職容疑で訴追された」と述べたが、野党と弁護団はこの主張を却下した。
弁護団のひとり、キン・マウン・ザウ弁護士はAFP通信のインタビューの中で、汚職罪を「馬鹿げている」と却下し、「軍は民主化のリーダーの名声を汚そうとしている」と述べた。「軍はスーチー氏を排除するつもりです。彼女に汚名を着せて刑務所に投獄すれば、国民民主連盟(NLD)は勢いを失うでしょう」
軍のミン・アウン・フライン司令官は、国民民主連盟(NLD)は昨年11月の総選挙で不正を働いたと主張し、軍事クーデターを正当化した。
しかし、選挙を監視した独立委員会は報告書の中で、「選挙はおおむね自由かつ公正に行われた」と述べた。軍は不正の証拠を提供していない。
軍事クーデターは広範にわたる抗議デモを引き起こし、最大都市ヤンゴンやマンダレーなどに集まった抗議者は拘束されたスーチー氏を含む政府高官の解放と文民政府への速やかな移行を訴えた。しかし、軍は抗議者を厳しく取り締まり、これまでに少なくとも800人以上を殺害し、多くの反対派、民主活動家、ジャーナリストなど拘束した。
現地メディアによると、3月に拘束されたアメリカのジャーナリストであるネイサン・マウン氏に対する起訴は14日に取り下げられたという。マウン氏は15日中にミャンマーを発つ予定と伝えられている。
軍は1962年のクーデター後、約50年間ミャンマーを統治し、1988年の大衆蜂起(8888民主化運動)を力でねじ伏せ、スーチー氏を15年間自宅軟禁した。