インド首相がイスラエル訪問、パートナーシップ深化へ
インドとイスラエルの関係は過去10年で大きく強化され、防衛・技術・経済分野で協力を拡大してきた。
とインドのモディ首相(AP通信).jpg)
インドのモディ(Narendra Modi)首相は2月25日から2日間の日程でイスラエルを公式訪問し、中東におけるインドの外交優先を試す重要な局面を迎えている。今回の訪問はモディ氏にとって2017年以来9年ぶり2度目であり、両国の戦略的パートナーシップを深化させる狙いがある。モディ氏はエルサレム到着後、ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相と会談し、国会(クネセト)で演説する予定だ。
インドとイスラエルの関係は過去10年で大きく強化され、防衛・技術・経済分野で協力を拡大してきた。モディ氏は訪問に先立ち、双方の「多面的で強固な戦略的パートナーシップ」を強調し、両国関係が近年大きく進展したと表明した。イスラエルはインドにとってアジアで2番目に大きな貿易相手国であり、2025年度の総貿易額は36.2億ドルに達した。
今回の訪問では安全保障や経済協力、技術共有が中心となる見通しで、人工知能(AI)や量子コンピューティングなど先端技術分野での共同プロジェクトや協定が締結される可能性がある。また、両国は農業技術やサイバーセキュリティといった分野でも協力を拡大する意向を示している。
しかし、この訪問は単なる二国間関係の強化を超え、インドが中東における外交的バランスをどのように取るかを世界に示す試金石ともなっている。インドは歴史的にパレスチナの二国家解決を支持し、アラブ諸国との関係を長年維持してきた。イスラエルとの緊密な協力と、伝統的な外交姿勢との調整が求められる状況にある。
背景には中東全域で高まる地政学的緊張がある。イスラエルはガザ紛争の継続やイランとの核問題を抱え、不透明な状況が続いている。米国がイランの周辺海域に大規模な海軍戦力を展開する動きもあり、地域の緊張が高まっている。こうしたなかでモディ氏は、イスラエルとの協力を強化しつつ、パレスチナ問題や地域安定に関するインドの立場をどのように示すかが注目されている。
インド国内でも今回の訪問には賛否両論がある。与党はイスラエルとの関係強化がインドの国益につながると支持する一方、野党の一部はパレスチナ支援の立場を軽視するものだとして批判しているとの報道がある。訪問時期や中東情勢の不透明さを踏まえ、外交的判断の是非が国内で議論されている。
専門家は、インドが中東での戦略的影響力を高めるには、イスラエルとの協力深化だけでなく、アラブ世界やイランなどとの関係も並行して調整する必要があると指摘する。インドはエネルギー安全保障や移民労働者の生活を支えるため、湾岸諸国との関係維持も重要な外交課題である。
モディ氏の訪問は単なる外交儀礼にとどまらず、インドの「戦略的自律性」を示す一方で、中東情勢における複雑な均衡を測る重要な場となっている。訪問後の合意内容や声明、そしてモディ氏がパレスチナ問題にどのような姿勢を示すかが、今後の地域外交の方向性を占う鍵となる。
