SHARE:

マレーシア、ASEANに「サイバー空間」での防衛協力拡大を要請

東南アジアにおけるサイバー犯罪は、急速なデジタル化とインターネット普及に伴い深刻化している。
2025年10月31日/マレーシア、首都クアラルンプール、ASEAN国防省会議(AP通信)

マレーシア政府は10月31日、ASEAN国防相会議で加盟国に対し、安全保障協力の枠組みをサイバー空間へ拡大するよう呼びかけた。

ノルディン(Mohamed Khaled Nordin)国防相は開会挨拶で、南シナ海での緊張の高まりや、社会を混乱させ、政府を転覆させ、重要インフラを損なう可能性のあるサイバー攻撃の拡散など、複数の脅威がASEAN地域の平和を脅かしていると警告した。

またノルディン氏は「南シナ海における課題は明らかだが、我々のデジタル領域も同様に危険に晒されていることを認識しなければならない。ネットワークやシステムを脅かす脅威は目に見えないかもしれないが、海洋領域を脅かす脅威と同様に危険である」と強調した。

11月1日には米国、中国、日本、インド、オーストラリア、韓国などの国防相も会議に加わる予定だ。

東南アジアにおけるサイバー犯罪は、急速なデジタル化とインターネット普及に伴い深刻化している。

地域全体でオンライン取引や電子決済が拡大する一方で、サイバーセキュリティ対策が十分に整っていない国も多く、個人情報の流出や金融詐欺、ランサムウェア攻撃などが頻発している。

特にフィッシング詐欺やソーシャルメディアを悪用した詐取が増加しており、一般市民だけでなく企業や政府機関も標的となっている。

また、ミャンマーやカンボジアなどでは、人身売買と結びついた「サイバー詐欺工場」が乱立。労働搾取の形で他国から若者が強制的に関与させられるケースもある。

ASEANはサイバー犯罪対策の国際協力を進めているが、法制度や捜査能力の格差が大きく、越境犯罪の摘発は依然として困難である。

今後は技術的防御の強化に加え、教育や国際的な情報共有体制の整備が求められている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします