キルギスタンについて知っておくべきこと
・カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、中国と国境を接する。
・ソビエト連邦の一部だった時は、キルギスソビエト社会主義共和国と呼ばれていた。
・1991年に独立を宣言、現在の名前(キルギス共和国/キルギスタン)を取得した。
・2005年、アスカル・アカエフ大統領を蜂起によって一掃。2010年にはクルマンベク・バキエフ大統領を追放した。
・脅迫、暴力、買収に満ちた選挙を繰り返し、事あるごとに大統領が追放される。
・国内にロシアの空軍基地がある。
・ロシアの経済支援に依存している。
ジェーンベコフ大統領が抗議者の脅迫に屈し、辞任を表明
10月15日、キルギスタンのソーロンバイ・ジェーンベコフ大統領は、論争の的となった不正選挙に対する抗議を受け、辞任すると発表した。
ジェーンベコフ大統領のライバルとして新たに擁立された元国会議員のサディール・ジャパロフ新首相の支持者たちは、首都ビシュケクに集結し、「新首相を大統領代行に昇進させなければ政府庁舎を襲撃する」と脅迫した。
大統領辞任後、その権力を受け継ぐのは議会議長である。しかし、ジャバロフ首相は後継者の就任を拒否したという。
脅迫に屈した大統領の辞任と議会議長の暫定大統領就任拒否は、10月4日の議会選挙から始まった混乱を加速させ、キルギスタン国民650万人の未来に暗い影を落としている。
野党グループの支持者は、投票中に横行したとされる票の購入やその他の不正を糾弾し、議会選挙の結果を却下。開票終了から数時間後、抗議者たちは政府庁舎を制圧した。
その後抗議者たちは、11年の禁固刑を受け服役中だったジャパロフ氏を含む数人の野党指導者を解放したのである。
中央選挙管理委員会は議会選挙を無効にし、野党指導者およびその支持者たちはグループに分かれ権力争いを開始。首都ビシュケクに群がり、石を投げつけ合った。
一連の混乱を受け、ジェーンベコフ大統領は9日に非常事態を宣言、首都に軍隊を配備した。
14日、ジェーンベコフ大統領は野党指導者の辞任要求を拒否した。しかし、抗議者と軍隊が首都ビシュケクで対峙しており、「権力を維持すれば致命的な暴力と血が流れる」と判断、辞任を表明した。
ジェーンベコフ大統領は声明の中で次のように述べた。
ソーロンバイ・ジェーンベコフ大統領:
「私が要求を拒否すれば、血が流れる」
「私は自国民を撃った大統領として歴史に名を残したくない」
「首都ビシュケクは緊張状態にあり、これ以上状況を悪化させたくない。野党指導者たちは今すぐ支持者たちを通りから追い出し、平和な生活に戻るよう促してほしい」
声明発表後、ジャバロフ首相の支持者たちは議会を包囲し、議会のカナト・イサエフ議長に暫定大統領就任を思いとどまるよう脅迫した。
その後、イサエフ議長は暫定大統領に就任しないことを認め、ジャバロフ首相の支持者たちは歓喜の輪に包まれた。
議会は16日に会合を開催し、暫定大統領就任を拒否した議長に代わり、ジャバロフ首相の大統領就任を認める予定である。
首都ビシュケクで発出された夜間外出禁止令と軍隊は、暴動や略奪におびえる市民の恐怖と都市の緊張を和らげた。
閉店していた店舗や銀行は、先週から営業を再開している。
2005年と2010年に当時の大統領を追放した蜂起と同じく、今回のキルギスタンの不安は国の政治を支配する権力者たちの対立によって引き起こされた。
キルギスタンは旧ソビエト連邦から独立した最も貧しい国のひとつであり、富を独占する一部の政治家は国民の不安と怒りに何度も直面している。
15日、クレムリンのスポークスマン、ドミトリー・ベスコフ報道官は記者団に対し、「私たちは新しい政権を知らない。そのような者たちは存在しない。キルギスタンへの支援を一時停止することは理にかなっていると言えるだろう」とコメントした。
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・ジェーンベコフ大統領が非常事態を宣言
・議会選挙の結果は無効になり、首相が辞任を表明