◎文在寅 大統領は明日、保守派の尹淑烈(Yoon Suk Yeol)氏に政権を引き継ぐ。
韓国の文在寅(Moon Jae-in)大統領は9日、最後の演説で北朝鮮に関与する自政権の宥和政策を擁護し、朝鮮半島の平和と非核化を達成するための努力が継続されることを望むと語った。
ムン氏は明日、保守派の尹淑烈(Yoon Suk Yeol)氏に政権を引き継ぐ。
ユン氏は北朝鮮に対するムン政権の宥和政策を非難し、北の核・ミサイル開発により厳しく対処すると約束している。
ムン氏はテレビ演説の中で、「平和は我々の生存と繁栄の条件である。韓国と北朝鮮の対話を再開し、非核化と平和を確立するための努力が続くことを心から願っている」と語った。
2017年に就任したムン氏は核開発を推進する金正恩(Kim Jong Un)党総書記との和解を望むハト派だが、北が強硬姿勢を崩さずミサイル実験を繰り返しているため、現時点で外交の余地はほとんどないと認めている。
キムは2018年にムン氏と米トランプ(Donald Trump)前大統領と接触し核問題などについて協議したため、国際社会は南北の和解もあり得ると期待した。
キムはムン氏との会談に先立ち、2018年2月の平昌冬季五輪に妹の金与正(Kim Yo-jong)を送り込んだ。
南北の首脳はその後、2018年に3回首脳会談を行い、38度線の緊張を抑える措置を取り、歌手やバスケットボールチームなどが参加する交流プログラムを許可した。またムン氏は、現在停滞している北と米国の核交渉を仲介するために奮闘した。
しかし、キムとトランプ前大統領の関係は2019年に崩壊し、ムン氏は対北朝鮮制裁を主導する米国の圧力に直面した。
キムは米国寄りのムン政権に経済制裁に賛成しないよう圧力をかけ、ムン氏の煮え切らない態度に激怒し罵声を浴びせた。
ムン氏はテレビ演説の中で、「北との関係で前進できなかった理由は、努力や決意が足りなかったからではない。決意だけでは乗り越えられない壁があったからだ」と説明したが、その障害が何であるかは明らかにしなかった。
キムとムン氏は先月、南北関係の改善を望むという最後の公式文書を交わした。
しかし、一部の専門家は、「キムは朝鮮半島は平和的に統一できると主張することで、ユン次期大統領の強硬姿勢を阻止し、韓国世論を分断させようとしている可能性がある」と指摘している。
公式文書が取り交わされたという発表から3日後、キムは平壌で大規模な軍事パレードを行い、核開発を加速させると誓い、挑発されれば先制核攻撃をあり得ると示唆した。
キムは今年、日本と韓国を射程に収めるミサイル実験を繰り返している。
韓国の専門家の中には、「キムは兵器実験を繰り返すことでユン次期政権を動揺させつつ兵器を近代化し、バイデン政権に圧力をかけ制裁を緩和させようとしている」と指摘する人もいる。
韓国当局によると、キムは2017年以来となる地下核実験を準備している可能性があるという。