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北朝鮮・金与正、韓国の関係改善への期待を「幻想」と断じる

金与正は談話の中で、韓国側が掲げる北との関係改善の願望について、「実現不可能な妄想であり、どのような善意の表明や努力があっても現実は変わらない」と強調した。
2019年3月2日/ベトナム、首都ハノイのホーチミン廟、北朝鮮の金与正(AP通信)

北朝鮮の金与正(Kim Yo-jong)朝鮮労働党副部長は13日、韓国が南北関係の改善に期待を寄せることについて、「幻想」であり実現不可能だと強く否定する立場を表明した。国営朝鮮中央通信(KCNA)が金与正の談話を報じた。これは南北間の緊張が依然として続いていることを改めて示すものとなった。

金与正は談話の中で、韓国側が掲げる北との関係改善の願望について、「実現不可能な妄想であり、どのような善意の表明や努力があっても現実は変わらない」と強調した。特に、韓国政府が北の主権を侵害する「重大な挑発」を行ったと非難し、それを認めて謝罪しなければ、関係改善について何の議論も成立し得ないとの立場を示した。ただし、具体的な挑発行為の内容については明言していない。

この発言は、韓国のイ・ジェミョン(Lee Jae-myung)大統領が対北朝鮮政策として対話や交流、軍事的緊張緩和を模索しているタイミングで出されたものであり、南北関係の行き詰まりを象徴している。韓国政府はこれまで、北との対話再開や交流拡大を通じて緊張緩和を図る方針を示しつつ、米国や中国など関係諸国との協調も進めてきたが、北は一貫して対話の条件として韓国側の態度転換と謝罪を求めている。

背景にはドローン問題があるとみられる。北は最近、韓国からドローンの侵入があったと主張、これに対する韓国側の対応を問題視している。韓国政府は軍と警察が合同でドローン侵入の真相を調査しているが、北はこれを挑発行為と捉え、関係改善を阻む要因とみなしている。

金与正は談話の中で、「韓国が我が国の不可侵の主権を繰り返し挑発するならば、耐え難い代償を払うことになる」と警告し、韓国側の強硬姿勢に強い不満を示した。これに対し韓国政府は公式なコメントを出しておらず、両国の立場は依然として隔たっている。

専門家の間では、北がこのような強硬な言辞を繰り返す背景には、自らの安全保障や体制維持の優先を最重視する姿勢があるとの指摘がある。北は長年にわたり、核・ミサイル能力の強化を進めると同時に、外部からの圧力や敵視政策に対する反発を強めてきた。これまでにも、韓国政府が行ってきたプロパガンダ放送の停止や米韓軍事演習の調整などの措置に対して反応を示してきた。

一方、韓国は国際社会との連携の下、北との対話の再開や緊張緩和の道を探っている。イ氏は中国の習近平(Xi Jinping)国家主席に仲介を要請したり、米国や日本との協力を推進したりすることで、地域の安定化を目指している。しかし、北の強硬な姿勢は容易には変わらず、今後も南北関係は厳しい状況が続く可能性が高い。

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