北朝鮮・金正恩が巡航ミサイル発射訓練を視察=国営メディア
訓練は朝鮮半島西側の海域で行われ、発射されたミサイルは予定された飛行経路を通り、海上の目標に正確に命中したという。
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北朝鮮の金正恩(Kim Jong Un)党総書記が12月28日、長距離戦略巡航ミサイルの発射訓練を視察した。国営朝鮮中央通信(KCNA)が29日に報じた。
それによると、訓練は朝鮮半島西側の海域で行われ、発射されたミサイルは予定された飛行経路を通り、海上の目標に正確に命中したという。キムは訓練の成果を称賛し、北の核抑止力の信頼性と即応性を定期的に検証する重要性を強調した。
KCNAはミサイルが設定された軌道を安定して飛行し、目標を正確に撃破したと報じたほか、キムが訓練を通じて兵器システムの性能を直接確認したと伝えている。具体的な発射地点や使用された機種の詳細は明らかにされていないが、北の戦略的能力を示すものとして位置づけられている。
キムは訓練後の談話で、北を取り巻く安全保障環境を改めて批判し、外部の「敵対的勢力」が核抑止力を脅かしていると主張した。またキムはこうした状況に対応するため、核戦力と巡航ミサイルを含む戦略兵器の信頼性向上が不可欠だと述べた。北は過去にも巡航ミサイルや弾道ミサイルの発射訓練を繰り返しており、今回の訓練はそうした一連の軍事活動の一環と見られる。
専門家は北による巡航ミサイル発射訓練について、他国への軍事的圧力の一環、特に米国や韓国、日本などを念頭に置いた抑止力の誇示だと指摘している。巡航ミサイルは低高度で飛行し、レーダー網を回避しやすい特性を持つことから、戦略的価値が高いとされる。国際社会は北がこれらの軍事力強化を核・ミサイル開発の正当化と結び付けることに警戒感を強めている。
北は近年、ミサイル発射を繰り返し実施し、2025年も複数回試験発射を行っている。これには巡航ミサイルの発射訓練や海面への発射テストなどが含まれ、キム自身が現場で指導する姿が国営メディアを通じて報じられている。こうした動きは北の軍事的孤立を深めつつ、国内的には安全保障強化の姿勢を示す意図があると分析されている。
北の軍事活動に対し、米国や韓国、日本を含む関係国は警戒を続けている。特に韓国軍は北のミサイル発射をリアルタイムで監視し、対空防衛態勢の強化を図ってきた。また、国連安全保障理事会を通じた制裁の強化や外交的圧力も継続されているが、北はこれらを「主権への干渉」として拒否する姿勢を示している。
今回の視察は年末にかけて北が戦略兵器の実戦的運用能力を誇示する一連の動きの一部に位置づけられ、今後も類似の発射訓練が続けられる可能性が指摘されている。国際社会は北の動向を注視しつつ、外交的解決の模索を続けている。
