◎北朝鮮は何万もの人々を検査し、中国との国境を完璧に管理した結果、国内でコロナ感染者はひとりも確認されていないと主張している。
2021年6月29日/北朝鮮、首都平壌で開かれた朝鮮労働党の政治局会議、金正恩 党総書記(朝鮮中央通信社/AP通信/韓国通信社)

北朝鮮の国営メディアによると、金正恩 党総書記はコロナウイルス対策で成果を上げることができなかった政府高官を強い言葉で非難したという。

韓国の専門家は、「金正恩は国内の感染状況が重大な局面にあることを認識し、政府高官を厳しく叱責した可能性がある」と述べた。

北朝鮮は何万もの人々を検査し、中国との国境を完璧に管理した結果、国内でコロナ感染者はひとりも確認されていないと主張している。しかし、専門家はこの主張をほとんど信用しておらず、北朝鮮の脆弱なインフラで感染を抑えることはほぼ不可能と指摘している。

朝鮮中央通信社によると、金正恩は29日に開催された朝鮮労働党の政治局会議の中で、高官のコロナウイルス対策の計画と実行における無能、無責任、受け身の姿勢を厳しく非難したという。

金正恩は会議の中で、「高官は国家非常事態宣言下における重要な組織的、制度的、物質的、科学的、技術的措置を講じなかった」と述べた。「高官は国家と国民の安全を確保するという党の役目を果たすことができず、重大な結果をもたらした...」

朝鮮中央通信社は、「党総書記は高官4人を直々に呼び出し、厳しく叱責した」と報じた。ソウル大学校統一平和研究院のアナリストであるホン・ミン氏は、「金正恩は政府のコロナウイルス対策の最高責任者である金徳訓(キム・ドクフン)首相の後任を務める可能性がある」と指摘した。「北朝鮮は感染を決して認めません。パンデミックが発生していたとしても、北朝鮮は国内の感染状況を明らかにせず、最高と主張するウイルス対策キャンペーンを推進し続けるでしょう」

「しかし、今回の叱責で何か重要な問題が発生したことが明らかになりました。北朝鮮ではすでにパンデミックが発生しているか、多くの国民が感染リスクにさらされている可能性があります...」

韓国の私立世宗学堂のアナリスト、チョン・ソンチャン氏も同様の見解を示し、「北朝鮮は新義州や恵山などの中国との国境に接する町でコロナ関連の重大な問題に対処している可能性が高い」と指摘した。

韓国統一部は、「北朝鮮の感染状況に関する確実な情報がないため、コメントは控える」と述べた。

金正恩はコロナウイルスを軽視せず、「国家の存亡に関わる重要な問題」と警戒したうえで国境を閉鎖し、外交官を追い出し、国境を越えた交通と中国との貿易を大幅に削減した。一連の厳しい制限は、アメリカ主導の厳しい経済制裁で疲弊している国の経済をさらに圧迫した。

金正恩は今月初めに開催した会議の中で、当局にコロナの制限の長期化に備えるよう求めていた。

国連や世界保健機関(WHO)などが主導するコロナワクチン支援プログラムCOVAXイニシアティブは2月、今年の上半期までに北朝鮮に190万回分のワクチンを提供する可能性があると述べたが、世界的なワクチン不足の影響で計画は延期された。

2021年6月15日/北朝鮮、首都平壌で開催された労働党大会(韓国中央通信社/AP通信/韓国ニュースサービス)
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