◎燃料価格の高騰に抗議するデモは西部地域で昨年末頃に発生し、全国に拡大した。
カザフスタンのトカエフ大統領は16日、今年1月に発生した全国規模の暴動を念頭に置き、抜本的な政治改革を実施したうえで議会と自身の権限を強化すると発表した。
トカエフ大統領は議会演説の中で、「停滞を避けるためには超大統領制への移行が必要」と語った。
燃料価格の高騰に抗議するデモは西部地域で昨年末頃に発生し、全国に拡大した。デモ隊と首都ヌルスルタンの治安部隊は1月5日に衝突し、カザフスタン史上最大の暴動に発展した。
地元メディアによると、一連の暴動と取り締まりで少なくとも230人が死亡、数千人が負傷し、デモに参加した市民数千人が拘束された。
トカエフ大統領が提案した改革案には、新しい政党の登録規則を緩和し、国会議員の30%を一人区で選出できるようにし、大統領が地方公務員を自由に解雇できる権限を廃止することなどが含まれている。
トカエフ大統領は民主化を公約のひとつに掲げているが、新たな法律の施行や規則の見直しはほとんど進んでいない。国民はトカエフ大統領の前任者であるナザルバエフ前大統領の親族を含む国内の一部の富裕層が富を独占していることに憤慨している。
また今回の提案は、カザフスタンの主要な同盟国兼貿易相手国であるロシアの経済崩壊が近いという予測も反映している。カザフの貿易はロシアに大きく依存しており、ロシアの経済崩壊はカザフの経済縮小につながる可能性がある。
一部の専門家は、政府は燃料だけでなく小麦を含む食糧の供給不足に警戒する必要があると警告している。カザフ国民の平均月収は600ドル(約71,000円)ほどで、食糧価格の上昇は生活に直結する。
トカレフ大統領は演説の中で、「ウクライナでの出来事が食糧価格の高騰を招いた」と述べ、近いうちに改革に着手すると示唆した。
またトカエフ大統領は、国民の生活水準を守るための緊急支援予算を準備していると明らかにした。
カザフスタン政府の目下の関心事は、国の通貨(テンゲ)の安定を図ることである。当局は14日、1万ドル(119万円)以上の国外への持ち出しを禁止した。