◎ハリス副大統領はシンガポールのリー・シェンロン首相とインド太平洋地域における中国の問題、コロナウイルスへの対応、サイバーセキュリティ、サプライチェーンの協力などについて約2時間協議した。
2021年8月23日/シンガポールの政府庁舎、リー・シェンロン首相とカマラ・ハリス副大統領(Evelyn Hockstein/Pool/AP通信)

東南アジアを歴訪中のカマラ・ハリス米副大統領は23日、シンガポールで行った演説の中で中国を厳しく非難した。

ハリス副大統領はシンガポールのリー・シェンロン首相とインド太平洋地域における中国の問題、コロナウイルスへの対応、サイバーセキュリティ、サプライチェーンの協力などについて約2時間協議した。

ハリス副大統領は会談後の共同記者会見で、南シナ海における中国の行動は強制と脅迫に相当すると警告し、アメリカはこの地域の同盟国を支援すると約束した。

また、インド太平洋に対するバイデン政権の外交政策を強調し、「中国の行動は規則に基づく秩序を弱体化させ、国家の主権を脅かし続けている」と述べた。

ハリス副大統領はこの演説で、バイデン政権の最重要課題のひとつである対中国政策における同盟国の支援とインド太平洋の安定というコミットメントを保証し、中国を強くけん制したが、数十年におよぶ厄介なアフガン問題は残念な結末を迎え、多くの同盟国がアメリカの求心力低下に困惑している。

ハリス副大統領はインド太平洋の安定を「アメリカの安全と繁栄に欠かすことのできない極めて重要な問題」と呼んだ。また、アメリカはアフガニスタンの人々をできるだけ多く避難させ、アフガンとの関与を終わらせることに焦点を合わせていると強調し、撤退を「勇気ある決断」と擁護した。

ハリス副大統領が中国を公の場でここまで厳しく非難したのは今回が初めて。しかし、アメリカはインド太平洋地域の安定と平和を前身させるために、中国の平和的かつ民主的な関与を求めていると強調した。

そして、同盟国シンガポールの確固たる中立性を尊重し、「アメリカは同盟国に国を選ばせることを望んでいない」と述べた。

近年、中国は南シナ海の領海および島に対する主権を強く主張するようになり、他国の領海に軍艦や漁船を派遣し圧力をかけている。

2021年8月23日/シンガポールのアメリカ海軍艦船タルサ号、カマラ・ハリス副大統領(Evelyn Hockstein/Pool/AP通信)

ハリス副大統領は記者からアフガン問題に関する質問を何度も受けたが、関与を拒否し、「アメリカは子供や女性を含むアフガニスタンの人々を避難させることに焦点を当てている」というバイデン大統領の主張を繰り返した。「アフガンで起こったことはしっかり分析しなければなりません。しかし、今のところ、アメリカは米国民、アメリカと一緒に働いたアフガン当局者、そして子供や女性を含む脆弱な人々を避難させることに焦点を当てています」

リー首相はアメリカのアフガン撤退を支持すると表明したうえで、「シンガポールはテロとの戦いにおけるアメリカの努力に感謝している」と述べた。また、首都カブールで進行中の避難作戦を強化するために、シンガポール空軍の輸送機の使用を米軍に提案したことも明らかにし、次に起こることを見守っていると述べた。「重要なことはアメリカがアフガンを含むアジア太平洋地域の体制を確立し、より広い地域に関与し、テロとの戦いを続けることです...」

ハリス副大統領は23日午後にチャンギ海軍基地の米海軍艦船タルサ号を訪問し、地域の安定と安全のために働いている兵士や関係者に謝意を示した。

しかし、混沌とした米軍のアフガン撤退はこの地域に対する支援のメッセージを複雑にし、日本や台湾を含む同盟国はアメリカのコミットメントに疑問を投げかけた。ジョー・バイデン大統領は先週、アフガンへの無期限の関与は「真の戦略的競争相手」であるロシアと中国に利益をもたらすと主張したが、中国はタリバンの侵攻と避難作戦中に勃発した暴力は全てアメリカのせいと非難した。

中国外務省の報道官は23日、アメリカはアフガニスタンに不誠実なことをしたと述べ、国の再建を支援するよう求めた。「アフガニスタン問題の根本的な原因はアメリカにあります。問題から逃げることは許されません」

中国はタリバン政権との対話を進めると示唆したが、アルカイダ、イスラム国(ISIS)、2001年10月のアフガン奪還作戦で米軍と共に戦った北部同盟、その他のジハード組織が入り乱れるアフガン内戦に深く関与することは拒否している。

ハリス副大統領は24日遅くにベトナムを訪問する予定。アメリカの副大統領が思い出の地ベトナムを訪問するのは初めて。

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