香港ジミー・ライ氏、国安法裁判で上訴せず、懲役20年確定
控訴断念の決定により、78歳のライ氏は長期刑を受け入れる形となった。
と刑務官(AP通信).jpg)
香港の著名なメディア企業家で民主化運動の象徴的存在であるジミー・ライ(黎智英、Jimmy Lai)氏が国安法裁判で上訴しない方針を決めた。現地メディアが6日に報じた。ライ氏は先月、国家安全維持法違反で懲役20年の実刑判決を言い渡されていた。今回の決定により判決が確定する見通しとなった。
ライ氏は香港で民主派の象徴的存在として知られ、有力紙「リンゴ日報(Apple Daily)」を創刊。中国共産党への批判を続けてきた人物として知られ、2020年に施行された香港国安法の下で逮捕・起訴された。2025年12月、高等法院はライ氏が外国勢力と結託して国家の安全を危険にさらした罪や扇動的記事の出版を共謀した罪などで有罪と認定した。
判決では国安法違反の罪により懲役20年が言い渡された。この事件は国安法の下で審理された最も注目度の高い案件の一つで、民主派への取り締まりの象徴的事例とみられている。香港政府は取り締まりについて、国家の安定を守るために必要と主張しているが、欧米諸国や人権団体は言論や報道の自由を抑圧するものだと批判してきた。
弁護団によると、ライ氏は国安法事件について上訴しない決断を下した。一方で、別の事件では一部の判決が覆る動きも出ている。2月にはオフィス賃貸契約をめぐる詐欺罪での有罪判決について控訴裁判所が下級審の判断を誤りとし、判決を破棄する判断を示した。もっとも、この決定は国安法事件の判決には影響しないため、ライ氏は引き続き服役を続けることになる。
ライ氏は中国本土で生まれ、12歳のとき香港へ密航・移住した。衣料品ビジネスで成功した後、メディア事業に進出し、香港の言論空間を象徴する存在となった。だが2019年の大規模な民主化デモ以降、中国政府が香港への統制を強める中で、同氏や多くの民主派政治家、活動家が相次いで訴追された。
香港国安法は2020年に中国共産によって導入され、国家分裂や外国勢力との結託などを処罰対象としている。導入後、民主派団体の解散や独立系メディアの閉鎖が相次ぎ、香港社会の政治環境は大きく変化した。ライ氏の事件は、こうした変化を象徴するケースとして国際社会の関心を集め続けている。
今回の控訴断念の決定により、78歳のライ氏は長期刑を受け入れる形となった。司法当局は法に基づく正当な裁判だと強調する一方、欧米諸国や人権団体は引き続き釈放を求めており、同氏の扱いは今後も香港の自由や法制度を巡る国際的議論の焦点となる可能性がある。
