◎インドネシアではイスラム教に関連する冒とく罪で毎年数十人が逮捕・起訴されている。
2021年4月25日/インドネシア、バリ島(ロイター通信)

インドネシア・南スマトラ州の地方裁判所がイスラム教の祈りをささげた後に豚肉を食べる動画をティックトックに投稿した女性に懲役2年を言い渡した。地元メディアが21日に報じた。

この女性は今年3月、冒とく罪で逮捕・起訴された。

地元メディアによると、判事は19日の裁判で女性に懲役2年と罰金刑を言い渡したという。

この女性はインドネシアで有名なSNSインフルエンサーとされ、イスラム教徒であることを認めている。

女性は3月に公開したティックトック動画の中で聖典コーランの一節を読み上げ、「神の名において」と祈りを捧げた後、カリカリに揚げた豚皮を食べた。

女性は逮捕後、ティックトックに謝罪メッセージを投稿。「豚皮を食べたのはジョークだった」と述べ、19日の判決前にも再度謝罪した。

地元メディアは女性の弁護士の話しとして、「何度も謝ったのにあんまりだ」と伝えている。

それによると、女性は弁護士に「驚いている。どうして。何度も謝ったのに、2年も刑務所に入るの?信じられない」と述べたという。

インドネシアはイスラム国家である。イスラム教徒はコーランの教えに基づき、いかなる理由があろうと豚肉は食べない。

同国で特定の宗教に対する攻撃や憎悪を煽る行為は冒とく罪に問われる。人権団体はこれを「表現の自由を制限するもの」と批判している。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのインドネシア支部は21日、女性が懲役2年を言い渡されたことに怒りを表明。「政府は表現の自由を守ると約束したにもかかわらず、この女性は豚肉を食べただけで実刑を言い渡された」と非難した。

インドネシアではイスラム教に関連する冒とく罪で毎年数十人が逮捕・起訴されている。

2017年にはキリスト教徒である当時のジャカルタ州知事が演説中にコーランの一節を引用したとして冒とく罪に問われ、2年間服役した。

2018年にはモスクの騒音に不満を訴えた中国人女性が神を冒とくしたとして懲役1年6カ月を言い渡された。

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