インド軍、カシミール地方で過激派3人殺害、掃討作戦継続中

治安部隊はパキスタン側の境界から200キロほど離れた山林で掃討作戦を実施し、過激派の戦闘員3人を無力化した。
2025年5月2日/インド、ジャンムー・カシミール州、陸軍の兵士(AP通信)

インド軍は28日、係争地カシミール地方の森林地帯で過激派の戦闘員3人を殺害したと明らかにした。

それによると、治安部隊はパキスタン側の境界から200キロほど離れた山林で掃討作戦を実施し、過激派の戦闘員3人を無力化したという。

軍はソーシャルメディアに声明を投稿。「激しい銃撃戦の末、3人のテロリストを殺害した」と述べた。

現場は同地域最大の都市スリンガーの北東約30キロ地点。

警察庁の長官は28日、首都ニューデリーの記者団に対し、「軍、準軍事組織、警察による合同作戦は継続中であり、カシミール以外の地域でもテロリストを追跡している」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。

ジャンムー・カシミール州では4月、正体不明の武装集団が観光客に向けて発砲し、26人が死亡、17人が負傷した。その多くがインド人であった。

この事件後、インドとパキスタンの境界で戦闘が発生。本格的な戦争になる可能性も出ていたが、両国は5月10日、米国の仲介を受け、完全かつ即時の停戦に合意した。

このテロ攻撃を起こした武装集団の正体は分かっておらず、捜査が進んでいるかも不明である。

インド政府はこの事件を受け、パキスタン国民に発行したすべてのビザ(査証)を剥奪し、インダス川水利条約の履行を停止するなどの対抗措置を講じた。

この条約は世界銀行の仲介によって締結され、インダス川の東側の支流3本をインド、西側の支流2本をパキスタンが利用することを定めている。

インドはこの条約でパキスタンの農地の80%への水供給を保証していた。

パキスタン政府はジャンムー・カシミール州の事件への関与を否定している。

両国はカシミールの境界で激しい銃撃・砲撃戦を繰り広げた。パキスタンは40~50人のインド兵を殺害したと主張している。

両国はその後、陸、空、海におけるすべての軍事行動を直ちに停止することで合意した。

インドとパキスタンはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。

カシミールでは24年9月末頃から暴力事件が急増し、多くの市民が爆弾テロや銃撃戦に巻き込まれてきた。

インドのカシミールの反政府勢力は1989年の武装蜂起以来、中央政府と戦ってきた。カシミールで生活するイスラム教徒の多くがパキスタンへの編入か独立という反政府勢力の目標を支持している。

インド政府は2019年、「歴史的大失態」の是正として、70年間に渡って認めてきたジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪した。

ジャンムー・カシミール州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州であり、ヒンズー政策を推進する政府と何度も対立してきた。

インドは21年、射程5000キロの核搭載可能大陸間弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功。これは長距離地対地弾道ミサイルである。

インドは1947年にイギリスから独立して以来、パキスタンと3度の戦争を戦ってきた。これらのミサイルはパキスタンの全国土を射程に収めている。

パキスタンも核保有国であり、中長距離ミサイルの開発を進めている。

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