◎密造酒は安価で酔いやすいものの、度数を高めるために農薬やメタノール(メチルアルコール)などを混ぜていることが多いため、極めて危険だ。
ラム酒のカクテル(Social Butterfly/Pixabay)

インド南部タミルナド州でメタノール入りの密造酒を飲んだ少なくとも54人が死亡し、100人以上が入院している。地元当局が22日、明らかにした。

それによると、同州の一部地域では19日に確認された違法アルコールを飲んだ200人近くが治療を受け、うち100人以上が複数の病院で治療を受けているという。

地元当局は22日時点で男性48人と女性6人が死亡。他の多くが嘔吐、腹痛、下痢などの症状で治療を受けていると明らかにした。

密造酒は安価で酔いやすいものの、度数を高めるために農薬やメタノール(メチルアルコール)などを混ぜていることが多いため、極めて危険だ。

しかし、密造酒はインド全土で莫大な利益を生む産業のひとつになっており、その規模はアルコール産業に匹敵すると推定されている。

密造者は税金を払わず、膨大な量の密造酒を安価で売りさばき、利益を上げている。

専門家によると、これらの密造酒に使用されるメタノールは主に工業用であり、少量でも失明や肝障害、死に至る可能性がある。

地元メディアによると、密造酒の製造に関与したとされる7人が逮捕され、200リットルの密造酒が押収されたという。

タミルナド州政府は20日、違法アルコールの取り引きに関与したとして、同州の職員10人を解雇したと発表した。

同州は犠牲者の遺族と入院した人々に補償金を支払うとしている。

タミルナド州で昨年発生した同様の事件では数十人が死亡。北部パンジャブ州で2020年に発生した事件では少なくとも120人が死亡している。

 2022年には東部ビハール州で30人以上が死亡。西部グジャラート州でも少なくとも28人が、許可なく販売された密造酒を飲んだ後に死亡した。

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