◎軍隊は今年、17.5~21歳の男女4万6000人を臨時採用するとしているが、従軍期間は4年に限定され、年金給付もない。
インドの警察当局は16日、全国各地で政府の新たな兵士採用計画に反対する抗議デモが発生したと報告した。
地元メディアによると、東部ビハール州、中部マディヤプラデシュ州、西部ラジャスタン州などで激しいデモが行われ、一部の抗議者が公共施設を破壊したという。警察は催涙ガス弾やコショウスプレーなどで応戦し、数百人を拘束したと伝えられている。
最も大きな被害を受けたビハール州では警察官が2万5000人近く配備された。同州のデモは8つの地区の12の町に広がり、数万人が参加したとみられる。
ビハール州警察は声明で、「デモ隊は高速道路と線路を封鎖し、列車の運行にも影響を与えた」と述べている。
シン(Raj Nath Singh)国防相が今週発表した新しい兵士雇用プログラムによると、今年、軍隊は17.5~21歳の男女4万6000人を臨時採用するとしているが、従軍期間は4年に限定され、年金給付もない。
正規採用の兵士はその気があれば30年以上勤務できる。
シン氏はこのプログラムの目的を「安全保障強化策」と説明し、擁護した。
2024年に国政選挙を控えるモディ(Narendra Modi)首相の与党「インド人民党」は、雇用の確保と失業率の改善を迫られている。
同党はこの計画について、「軍で訓練を受けた者は警察や民間企業の就職活動で有利に立つことができる」としている。
しかし、一部の退役軍人と野党はこの計画を厳しく批判した。
ある退役軍人は、「政府はインド軍を中途半端な準徴兵部隊に変えようとしている」とツイートした。「アルバイト兵士を雇う暇があるのなら、経済政策に予算を投じなさい」
野党指導者のひとりはモディ氏に対し、「もっと若者の声に耳を傾ける必要がある」と訴えた。
中部マディヤプラデシュ州では鉄道駅が荒らされ、いくつかの列車に火が放たれた。
北部の町ではラジャスタン州と首都ニューデリーを結ぶ高速道路の一部とバスターミナルが一時的に占領された。ヒンドゥスタン・タイムズ紙によると、警察はこん棒でデモ隊を鎮圧したという。