◎イスラム教徒のヒンズー教に対する怒りは、与党「インド人民党」の報道官2人によるイスラム教軽視発言で爆発した。
インドの現地メディアは15日、全国各地で違法建築物とみられるイスラム教徒の住居取り壊しに反対するデモが続いていると報じた。
多数派のヒンズー教徒はこの取り壊しを「正義」と呼んでいるが、少数派のイスラム教徒は「弾圧」と非難している。
北部ウッタルプラデシュ州で先週発生した暴力的なデモでは300人以上が逮捕された。警察は違法建築物とみられる建物1軒を解体したうえで、所有者とみられる男性を逮捕した。
イスラム教徒のヒンズー教に対する怒りは、モディ(Narendra Modi)首相率いるインド人民党の報道官2人によるイスラム教軽視発言で爆発した。2人は公の場で預言者ムハンマドを軽蔑した。
同党は1人を停職、もう1人を除名処分とし、「宗教に対する侮辱を強く糾弾する」という異例の声明を発表している。
ブルドーザーは先週、ウッタルプラデシュ州内の別の都市でもイスラム教徒の財産を押しつぶした。
今年4月には首都ニューデリーでもイスラム教徒所有の店舗が破壊され、警察に殴りかかったイスラム教徒数十人が逮捕された。同様の事件が他の州でも報告されている。
ヒンズー教徒が多数派を占める地域ではイスラム教徒の違法建築物取り壊しを求めるデモが行われており、多くの建物が取り壊された。
取り壊された建物は土地所有者の許可なく建設されたものとみられる。
元最高裁・高裁判事や弁護士などで構成される12人のグループは14日、一連の取り壊しが正当な理由によるものかどうかを審理するよう求める書簡を最高裁に送った。
グループの代表は記者会見で、「ウッタルプラデシュ州政府はイスラム教徒を弾圧している」と非難した。
ジャールカンド州では先週、インド人民党報道官の発言に抗議したデモ隊が警察と衝突し、市民1人が死亡している。
イスラム教徒が多数を占めるいくつかの国も報道官の発言を非難し、バングラデシュではインド製品のボイコットが呼びかけられている。
国際NGOアムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチによると、インド国内におけるイスラム教徒に対するヘイトスピーチはここ数年で激増したという。
しかし、モディ氏とインド人民党は見て見ぬふりをし、時にはヘイトを許可したと非難されている。モディ氏はこれを強く否定している。
ウッタルプラデシュ州政府は先週、300人以上が逮捕された抗議デモを厳しく非難し、違法建築物を速やかに取り壊すよう当局に命じた。「いかなる理由があろうと、暴力は許されません。違法物件の所有者は逮捕されるでしょう」
取り壊された物件の所有者の弁護士は地元メディアの取材に対し、「政府はイスラム教徒を狙い撃ちしている」と主張した。「なぜ今壊すのですか?建物は数十年前に建設されたものです。なぜもっと早くから手を打たなかったのですか?政府はヒンズー教徒の支持者を喜ばせるために、イスラム教徒を痛めつけています...」
政府は「取り壊しの対象は違法建築物のみ」と説明しているが、権利団体はモディ政権下で宗教的偏向が高まったことを指摘し、取り壊しを「イスラム教徒に対する嫌がらせ」のひとつと呼んでいる。
あるヒンズー教徒はツイッターに、「インド人民党に逆らったイスラム教徒は罰を受けるだろう」と投稿した。「違法建築物の取り壊しに反対するヒンズー教徒は犯罪者を擁護していますね...」
あるイスラム教徒はこのツイートに反応し、「モディは反対派の家を取り壊すと脅している」と投稿した。