▽インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。
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インド軍が隣国パキスタンのカシミール地方に向けてミサイルを発射し、テロリストの拠点を攻撃した。両国が6日、明らかにした。
パキスタン軍によると、インド軍は6日未明、カシミール地方に向けてミサイルを数発発射したという。
インド国防省は攻撃を認め、パキスタンの統治下にあるカシミール地方のテロリストインフラ9カ所を標的にしたと明らかにした。
パキスタン軍によると、この攻撃で少なくとも3人が死亡、12人が負傷したという。死傷者の身元は明らかになっていない。
インド国防省は声明の中で、「正義は果たされた」と述べた。
インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。
この事件はジャンムー・カシミール州近郊の山岳地帯にある観光地で4月22日に発生。正体不明の武装集団が観光客に向けて発砲し、26人が死亡、17人が負傷した。
インド政府はこの地域に陸軍を派遣し、容疑者を追跡している。
インド政府はこの事件を受け、パキスタン国民に発行したすべてのビザ(査証)を剥奪した。
パキスタンはインドの外交スタッフの削減、両国間で唯一機能している陸上国境の閉鎖、インドとの水共有条約を停止するなどの対抗措置を発表した。
またパキスタンはインドが所有または運営するすべての航空会社の領空への進入を禁じ、インドとの貿易を停止した。インド側も同様の措置を取っている。
インド政府はこの事件にパキスタン政府が関与したと主張しているが、その証拠は示していない。
パキスタン政府は関与を否定し、国連と国際社会に中立的な調査を求めている。
パキスタン軍は先週から厳戒態勢を敷いている。
イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相は5日、パキスタンを訪れ、ャリフ(Shehbaz Sharif)首相やザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領らと会談。インドとの緊張を緩和するよう要請していた。
パキスタンのタラル(Attaullah Tarar)情報・放送相は先月末、インドが今後24~36時間以内に軍事攻撃を仕掛けるという情報を入手したと明らかにしていた。
インドとパキスタンはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。
カシミールでは24年9月末頃から暴力事件が急増し、多くの市民が爆弾テロや銃撃戦に巻き込まれている。
カシミールの反政府勢力は1989年の武装蜂起以来、中央政府と戦ってきた。カシミールで生活するイスラム教徒の多くがパキスタンへの編入か独立という反政府勢力の目標を支持している。
インド政府は2019年、「歴史的大失態」の是正として、70年間に渡って認めてきたジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪した。
ジャンムー・カシミール州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州であり、ヒンズー政策を推進する政府と何度も対立してきた。
インドは21年、射程5000キロの核搭載可能大陸間弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功。これは長距離地対地弾道ミサイルである。
インドは1947年にイギリスから独立して以来、パキスタンと3度の戦争を戦ってきた。これらのミサイルはパキスタンの全国土を射程に収めている。
パキスタンも核保有国であり、中長距離ミサイルの開発を進めている。