インド政府、カシミール虐殺事件の容疑者3人殺害、内務省が発表
軍は28日、パキスタン側の境界から200キロほど離れた山林で掃討作戦を実施し、過激派の戦闘員3人を無力化したと報告していた。
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インド政府は29日、係争地カシミール地方の森林地帯で殺害した過激派の戦闘員3人について、ジャンムー・カシミール州で4月に発生した銃乱射事件の容疑者であると明らかにした。
シャー(Amit Shah)内相は議会下院でこの事件に言及。「3人はパキスタン国籍の男である」と発言。スリンガーの北東約30キロ地点で軍、準軍事組織、警察の合同作戦により殺害されたと述べた。
軍は28日、パキスタン側の境界から200キロほど離れた山林で掃討作戦を実施し、過激派の戦闘員3人を無力化したと報告していた。
シャー氏は治安部隊が現場で押収した弾薬が4月の虐殺事件で使用されたものと一致したと明らかにした。
またシャー氏は3人が事件を実行する前に、3人に食料と住居を提供したとみられる住民の遺体が見つかったと述べた。
一部メディアはこの住民がパキスタンの過激派を支援したと報じているが、真偽は不明である。
パキスタン政府はコメントを出していない。
パキスタン国営放送は28日夜、インドがパキスタン国籍の囚人を標的とする「偽の事件」を計画したと報じたが、詳細は明らかにしなかった。
ジャンムー・カシミール州では4月、正体不明の武装集団が観光客に向けて発砲し、26人が死亡、17人が負傷した。その多くがインド人であった。
この事件後、インドとパキスタンの境界で戦闘が発生。本格的な戦争に発展する恐れもあったが、両国は5月10日、米国の仲介を受け、完全かつ即時の停戦に合意した。
このテロ攻撃を起こした武装集団の正体は分かっておらず、捜査が進んでいるかも不明である。
インド政府はこの事件を受け、パキスタン国民に発行したすべてのビザ(査証)を剥奪し、インダス川水利条約の履行を停止するなどの対抗措置を講じた。
この条約は世界銀行の仲介によって締結され、インダス川の東側の支流3本をインド、西側の支流2本をパキスタンが利用することを定めている。
インドはこの条約でパキスタンの農地の80%への水供給を保証していた。
パキスタン政府はジャンムー・カシミール州の事件への関与を否定している。
両国はカシミールの境界で激しい銃撃・砲撃戦を繰り広げた。パキスタンは40~50人のインド兵を殺害したと主張している。
両国はその後、陸、空、海におけるすべての軍事行動を直ちに停止することで合意した。
インドとパキスタンはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。
カシミールでは24年9月末頃から暴力事件が急増し、多くの市民が爆弾テロや銃撃戦に巻き込まれてきた。
インドのカシミールの反政府勢力は1989年の武装蜂起以来、中央政府と戦ってきた。カシミールで生活するイスラム教徒の多くがパキスタンへの編入か独立という反政府勢力の目標を支持している。
インド政府は2019年、「歴史的大失態」の是正として、70年間に渡って認めてきたジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪した。
ジャンムー・カシミール州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州であり、ヒンズー政策を推進する政府と何度も対立してきた。
インドは21年、射程5000キロの核搭載可能大陸間弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功。これは長距離地対地弾道ミサイルである。
インドは1947年にイギリスから独立して以来、パキスタンと3度の戦争を戦ってきた。これらのミサイルはパキスタンの全国土を射程に収めている。
パキスタンも核保有国であり、中長距離ミサイルの開発を進めている。