インドの空港で欠航・遅延相次ぐ、当局がパイロット規制を撤回
事態の発端は今年7月から段階的に導入された新たな乗務員・パイロットの勤務時間管理規則であった。
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インドで国内最大手エア・インディア便の大量の欠航・遅延によって航空便と空港運営が混乱したことを受け、政府当局は5日、パイロットの労働時間規制を一時撤回すると発表した。
事態の発端は今年7月から段階的に導入された新たな乗務員・パイロットの勤務時間管理規則であった。これらの規則はパイロットの疲労防止と安全性確保を目的に定められたもので、休息時間の延長や夜間飛行の制限が盛り込まれていた。11月から改定の第二段階が施行されていた。
しかし、この新規則に対応するための乗務員の配置変更に失敗したエア・インディアはパイロットの数が足りず、多数の便を運航できなくなった。結果として今週、数百便の欠航や遅延が発生した。特にデリー発の国内便は一時全面欠航、チェンナイ発便も大幅に削減された。
空港内ではフライトを待つ人々が長時間列をなしたり、空港の床で夜を明かす姿も見られた。高齢者、学生、通院患者ら、移動を必要とする利用者への影響が大きく、「輸送手段としての航空便の信頼性」が大きく損なわれた。
こうした混乱を受け、航空規制当局DGCAは5日、パイロットの夜間飛行制限や週休の義務づけなどを事実上撤回すると発表。具体的には「休暇を週休に代替できない」とする規定を即時に撤廃し、臨時の特例措置として登録航空会社に適用されることとなった。
政府側は今回の判断について、「航空安全を損なうことなく、高齢者や病人、学生など、航空輸送を必要とする人々の利便性を優先した」と説明した。
エア・インディアは今回の混乱について、システムの不具合、悪天候、空港の混雑など複数の要因を挙げつつ、「新規則を巡る運航計画の甘さ」が根本原因だったと認め、謝罪した。
一方で、パイロットの労働条件改善を求めた規則導入の目的は安全性向上というものだったが、その実行過程の準備不足が裏目に出た形だ。今後は、航空業界がどのように労働条件と運航の両立を図るかが注目される。
