インドで「高級ミネラルウォーター」ブーム、贅沢の象徴に
こうした動きは都市部の高所得層を中心に広がっており、プレミアム市場の拡大が顕著になっている。
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インドの裕福層の間で、水が新たなラグジュアリーの象徴として注目を集めている。単なる生活必需品としてではなく、健康志向やステータスの象徴として高級ミネラルウォーターの需要が急伸しているのだ。こうした動きは都市部の高所得層を中心に広がっており、プレミアム市場の拡大が顕著になっている。
ロイター通信が取材したインド国内のグルメ食料品店では、ワインのようにミネラル成分や味わいを比較する「ウォーター・テイスティング」イベントが開催されている。フランスやイタリアの輸入水に加え、インドのブランド「Aava」など複数の高級水が並び、参加者は微細なミネラルや炭酸、塩分の違いを楽しんでいた。こうした催しを主催したインド最年少の“ウォーター・ソムリエ”は、「水を選ぶ際に栄養価なども考慮すべきだ」と述べている。
インドのプレミアムウォーター市場は約4億ドル(約618億円)規模に達し、従来の低価格ペットボトル水の15倍以上の価格が付く商品も存在する。インドでは低価格のボトル水が広く普及しているが、富裕層は健康効果への期待や水への不信感から、こうした高価格帯商品を選好する傾向が強まっている。専門家は富裕層の健康意識の高まりがこの潮流を後押ししていると分析している。
インドでは水道水の安全性に対する懸念が根強く、研究者の分析では地下水の約70%が汚染されていると指摘されるなど、クリーンな飲料水への需要自体が高い。また、近年インドの複数地域で水道水の汚染による健康被害も報告されており、水への信頼回復が進んでいない実情がある。こうした背景が、プレミアム水市場拡大に拍車をかけているとみられる。
消費者の間では、プレミアム水を日常的に飲むことが健康維持につながるという認識が広がりつつある。首都ニューデリーの不動産開発業者は、自宅でミネラルウォーターを日々飲むと体調が良くなるいと強調している。こうした高級水はウイスキーと合わせるなど、富裕層のライフスタイルの一部として位置づけられているという。
企業側もこの潮流をビジネスチャンスと捉え、大手財閥タタはヒマラヤ山麓の天然水源を利用した高級ミネラルウォーターの生産を拡大している。タタの幹部は、健康志向の高い消費者が価格を気にせず購入する傾向を歓迎し、プレミアム水ビジネスの成長余地は大きいと述べている。また、輸入の高級水も一部小売店で人気を博し、ニューヨーク「サラトガ・スプリング・ウォーター」は即日完売するなど、富裕層の嗜好を反映した売れ行きを見せている。
一方で、価格が高いため一般消費者には日常的な購入は困難との声もあり、プレミアム水がインド全体の飲料水市場で主流になるには時間がかかるとの見方もある。しかし、富裕層の間で健康やステータスの象徴として水を楽しむ文化が根付きつつあることは、インド消費市場の新たな潮流として注目されている。
