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インド、国産ジェット機開発への道、世界最大の航空市場

インドの民間航空市場は人口増加と中間層の拡大を背景に拡大を続けており、航空各社は新造機の大量発注を進めている。
インド国営エア・インディアの旅客機(Getty Images)

インドは世界で最も急速に成長する航空市場の一つとして、今後さらに多くの旅客機を必要としている。一方で、その需要を満たすためにインド自身が旅客機を製造できるのかが大きな課題となっている。

インドの民間航空市場は人口増加と中間層の拡大を背景に拡大を続けており、航空各社は新造機の大量発注を進めている。格安航空会社インディゴや国営エア・インディアなど主要キャリアはエアバスやボーイング製の機体を次々と発注し、今後数十年で膨大な機数が必要とされる見通しだ。専門家は、インド国内での旅客数が今後20〜30年で飛躍的に増加し、国内外の需要を満たすために数千機規模の新型機が求められると予測している。

この需要拡大を受け、インド政府や企業は「旅客機の国産化」を進めるべく動いている。歴史的にインドは民間旅客機の製造に成功した例がほとんどなく、1950〜60年代にかけてアブロHS748などの小型機が生産された程度で、以来民間機製造は停滞していた。しかし最近、国営のヒンドスタン航空機(HAL)がロシア国有UACと提携し、SJ-100型ジェット旅客機のライセンス生産をインド国内で行う計画が進んでいる。これにより、今後10年で200機以上のジェット機が国内で製造される可能性があるという。

インドが自国で完全設計・製造する大型の単通路機やワイドボディ機の開発には、依然として多くの技術的・経済的課題がある。旅客機の開発には膨大な資金、熟練した労働力、高度なサプライチェーン、国際的な安全認証が必要であり、これらは長年にわたってボーイングやエアバスが築いてきた強固な基盤である。特にジェットエンジンや複合材料の製造は技術的に高度で、インド国内での量産体制はまだ整っていないと指摘されている。

政府は航空機製造を戦略産業と位置付け、政策支援を強化している。国内の航空宇宙・防衛展示会では、海外企業との協業や部品供給の拡大が進むことで、インド企業が航空機産業のサプライチェーンに参入する動きが活発化していることが示された。これにより、将来的な国産機開発の下地が形成されつつあるとの見方もある。

ただし、専門家の間では「まずは小型・地域用機の生産から始めるべきだ」という意見が根強い。大型機開発には巨額の資本と長い期間が必要であり、国際市場での競争力を持つにはまだ時間がかかるとされる。一部では、既存の大手メーカーと組んで組立ラインや部品製造を国内に創設する方法が現実的との見方も出ている。

インドが旅客機の国産化を実現できれば、経済成長と雇用創出に寄与すると同時に、航空機輸入への依存を減らすことが可能になる。しかし、現時点では世界市場の主要メーカーに匹敵する商用機を単独で生産する道はまだ遠く、段階的な技術蓄積と国際協力が不可欠である。

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