インド最高裁、「生理休暇」求める請願を却下
インドでは生理休暇をめぐる制度は統一されておらず、州や企業によって対応が異なる。
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インドで女性の「生理休暇」をめぐる議論が広がっている。最高裁判所は13日、月経期間中の休暇制度を求める訴えに対し、「義務化すれば女性が雇用されにくくなる可能性がある」として、制度導入を政府に命じるよう求めた請願を退けた。
判断を下したのは最高裁の判事団で、審理はスーリヤ・カント(Surya Kant)首席判事とジョイマリヤ・バグチ(Joymariya Bagchi)判事が担当した。最高裁は月経休暇を法律で義務付けると、企業が女性を採用することをためらう可能性があると指摘し、「そのような法律を作れば、誰も女性を雇わなくなるかもしれない」と懸念を示した。
この訴えは、弁護士のシャイレンドラ・マニ・トリパティ(Shailendra Mani Tripathi)氏が提出した公益訴訟(PIL)によるものだ。請願では、働く女性や女子学生が月経期間中に休暇を取得できる制度を全国的に導入するよう、最高裁が政府に指示することを求めていた。女性は生理痛や体調不良により通常の勤務や学業が困難になることがあり、制度化することで健康や働きやすさを守るべきだと主張していた。
しかし最高裁は制度の意図は理解できるとしながらも、法律として義務化することには慎重な姿勢を示した。カント氏は企業側がコストや業務の継続性を考えた場合、女性を採用すること自体を避ける可能性があると指摘した。また、月経休暇を法律で定めることで、女性が男性より能力が低いという誤った印象を社会に与える恐れもあると述べた。
さらに、この問題は司法判断ではなく政策として検討されるべきだとし、中央政府や関係機関が利害関係者と協議したうえで検討するのが適切だと説明した。最高裁は請願を正式に退ける一方、政府が提出した提案を検討することは可能だと付け加えた。
インドでは生理休暇をめぐる制度は統一されておらず、州や企業によって対応が異なる。例えば一部の州や教育機関では女性向けの休暇制度が導入されており、民間企業でも自主的に生理休暇を認める例がある。こうした取り組みは女性の健康や働き方の改善を目的とし、支持する声も少なくない。
一方で、制度の義務化については賛否が分かれている。支持者は生理痛などによる体調不良を考慮した制度は女性の権利や健康を守るために必要だと主張する。一方、反対意見としては、女性が特別扱いされることで逆に雇用機会が減る可能性があるという懸念もある。
今回の最高裁判断は女性の健康支援と職場の平等をどのように両立させるかという難しい課題を改めて浮き彫りにした。インド社会では女性の労働参加を拡大する政策が進められているが、月経休暇を含む働き方の制度設計については、今後も政府や企業など間で議論が続くとみられている。
