◎カーン氏は今年4月に不信任決議で追放されて以来、政府と司法を厳しく批判している。
パキスタンのカーン(Imran Khan)前首相は8日、先月の政治集会中に女性裁判官を脅した事件で首都イスラマバードの裁判所に出廷した。
カーン氏は侮辱罪で起訴されている。
裁判所はカーン氏に正式謝罪を求め、それに応じれば起訴は取り下げられるはずだった。しかし、カーン氏は脅迫していないと主張。謝罪を拒否し、9月22日の初公判で「検察を圧倒する」と誓った。
カーン氏の「パキスタン正義運動(PTI)」とシャリフ(Shehbaz Sharif)首相の関係は悪化の一途をたどり、緊張が高まっている。
カーン氏は先月の政治集会で、「イスラマバードの警察署長と女性判事が私の補佐官とPTI支持者を虐待した」と主張した。
カーン氏の補佐官であるギル(Shahbaz Gill)氏は先月、民放テレビ局のインタビューで反乱を扇動したとして逮捕された。反乱の扇動は反逆罪にあたり、有罪が確定すれば死刑に処される可能性がある。
カーン氏は警察署長と判事を名指しし、「私たちは行動を起こすつもりであり、覚悟すべきだ」と述べ、ギル氏を解放しなければ何かしらの行動を起こすと示唆した。「覚悟しなさい、私たちはあなたに対して行動を起こします...」
カーン氏は今年4月に不信任決議で追放されて以来、政府と司法を厳しく批判している。
その政治集会は全国各地で開催され、毎回数万人が集まり、カーン氏の人気ぶりを示してきた。
カーン氏はシャリフ首相に解散総選挙を求め、応じなければイスラマバードで大規模デモを行うと警告している。
シャリフ氏は解散の可能性を否定しており、次の議会選は来年行われる予定だ。
中露との関係を重視するカーン氏は不信任決議を「米国の陰謀」と非難したが、米国はこれを強く否定している。
カーン氏はまた、別の事件で警察長官と判事を脅したとされる「テロ未遂」と、許可なく集会を開催した事件でも裁判にかけられる可能性がある。
国営テレビPTVは情報筋の話を引用し、「カーン氏の陣営は裁判を決意しているようだ」と報じた。
パキスタンの法律は刑事事件で有罪判決を受けた者の公職就任を禁じているため、もし侮辱罪が成立すれば、カーン氏は政界から完全追放される。
PTVは政府当局者の話を引用し、「カーン氏は脅迫するつもりはなかったと反論していたため、謝罪すると予想されていた」と報じている。