◎パキスタンは経済危機と暴力の急増に悩まされている。
国際通貨基金(IMF)は10日、資金繰りに苦しむパキスタンへの60億ドルの融資再開を先延ばしすると発表した。
パキスタンは経済危機と暴力の急増に悩まされている。
AP通信はパキスタン政府関係者の話を引用し、「融資再開に向けた交渉は進展した」と報じている。
IMFは旧政権が2019年に合意を反故にしたとして、コンプライアンス対策を徹底するよう求めている。
シャリフ政権は昨夏の大洪水の復興と経済危機を解消する資金集めに奔走している。洪水の影響を受けた家屋は200万戸、被害総額は300億ドル以上と推定されている。
国民は天災だけでなく、アフガン国境付近で相次ぐテロにも苦しめられている。北西部ペシャワルで先月末に発生した自爆テロでは300人以上が死傷した。
アナリストによると、IMFの融資再開は復興や経済活動を大きく後押しするという。
IMFが融資再開に合意すれば、世界銀行(WB)などの他の国際金融機関も融資を再開すると期待されている
シャリフ(Shahbaz Sharif)首相は前任のカーン(Imran Khan)氏がIMFとの合意を破ったと非難している。カーン氏は昨年4月の不信任決議で失脚した。
パキスタンは債務不履行(デフォルト)を避けたいが、外貨準備高は30億ドル以下にまで落ち込み、対外債務の処理に苦労していることは明らかだ。
アナリストによると、外貨準備は2週間分の輸入品を支払うほどしか残っていないという。
IMFは声明の中で、「この取引を進展させるための協議は数日続く」と述べている。
政府関係者によると、IMFはシャリフ氏に増税と低所得者向けの補助金を削減するよう求めているという。IMFは以前から歳出削減計画を提示するよう求めていた。
シャリフ氏は先週、「IMFの条件に従うのは難しいだろう」と述べ、歳出削減は容易ではないという見解を示していた。
しかし、財務省は10日、「IMFの条件を満たすために、1700億パキスタン・ルピー(約820億円)を税収で確保し、補助金を削減する」と発表した。