国際刑事裁判所(ICC)でフィリピン前大統領の予備審理始まる
ドゥテルテ氏は昨年3月に逮捕され、いわゆる「麻薬戦争」に関連する多数の殺害に関与したとして、検察側が提起した三つの罪状について審理される。
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国際刑事裁判所(ICC)は23日、「人道に対する罪」に問われているフィリピンのドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)前大統領の予備審理をオランダ・ハーグで開始した。ドゥテルテ氏は昨年3月に逮捕され、いわゆる「麻薬戦争」に関連する多数の殺害に関与したとして、検察側が提起した三つの罪状について審理される。今回の手続きは正式な裁判に進むかどうかを判断するためのもので、罪状の正当性を評価する段階だ。
ICC検察官は開廷に際し、ドゥテルテ氏が市民に対する広範かつ組織的な攻撃を促したと主張した。検察側は、警察やいわゆる「デススクワッド」と呼ばれる部隊が、金銭的報酬や恐怖を用いた命令で多数の殺害を実行したと述べ、暴力が単発的な事件ではなく体系的な政策に基づくものであったと強調した。
ドゥテルテ氏は2016~22年まで大統領を務め、その以前にはミンダナオ島ダバオの市長としても同様の強硬な麻薬対策を展開した。在任中の麻薬対策は貧困層を中心に多くの容疑者や市民を巻き込み、公式統計では6200人以上が死亡したとされるが、人権団体は実際の死者数を最大で3万人に上る可能性があるとしている。
今回のICCの手続きは「罪状確認審理(confirmation of charges hearing)」と呼ばれ、3人の判事が検察が提示する証拠を検討し、正式な裁判へ進める十分な根拠があるかを判断する。有罪・無罪の判断はこの段階では行われず、今後60日以内に書面で決定を下す見込みだ。
ドゥテルテ氏はこの審理に出席しておらず、出席権を放棄したとされる。弁護側は検察の証拠に反論し、ドゥテルテ氏の発言が暴力を助長する意図はなかったと主張している。また弁護団は検察が「誇張された例」を選び出していると批判している。
フィリピンは2019年にICCから脱退したが、ICCは加盟国であった期間(2011~19年)に行われた可能性のある犯罪については管轄権を維持するとしている。このため、ドゥテルテ氏の行動に対する訴追が継続された形だ。
ドゥテルテ氏の支持者は依然として国内に根強く存在し、ICCの審理については賛否両論がある。一方で被害者や人権活動家は今回の審理を「正義に向けた重要な一歩」と評価し、過去の殺人事件の真相を明らかにする機会となることを期待している。
元大統領がICCの審理にかけられるのは異例であり、今回の手続きは国際法における指導者の責任追及の在り方を巡る重要な事例となる可能性がある。ICCが正式な裁判を許可するかどうかは、今後の証拠評価と裁判官の判断次第である。
