◎アタタ島の住民リサラ・フォラウ氏(57歳)は1月15日の午後7時頃津波にさらわれた。
2022年1月20日/トンガ、首都ヌクアロファのビーチ(ロイター通信)

1月21日、ニュージーランドの外交官はトンガの大規模噴火後に発生した津波にさらわれ、27時間後に生還した男性の話を「奇跡」と呼び、称賛した。

ピーター・ルンド高等弁務官はAP通信の取材に対し、「トンガ人は奇跡の生還を心から喜んでいます」と語った。

アタタ島の住民リサラ・フォラウ氏(57歳)は1月15日の午後7時頃津波にさらわれた。

ファラウ氏は地元ラジオ局のインタビューの中で、「津波は自宅を直撃し、海に投げ出され、一晩漂流した」と語った。

ファラウ氏は一緒に流された丸太につかまり、無人島に流れ着いた。その後、ファラウ氏は丸太とともに次の島を目指し、約8時間後に2番目の島に到達し、そこから首都ヌクアロファのあるトンガタプ島に泳いで渡った。

ラジオ局によると、移動距離は推定7.5km、漂流時間は27時間に達したという。

ルンド高等弁務官は16日にトンガ政府と最初の打ち合わせを行った際、「アタタ島で人が流されたという報告を聞いた」と明らかにした。「政府は島内の電話で情報を収集し、アタタ島で人が流されたという情報を入手していました」

また、ファラウ氏の息子は16日に島内を捜索した際、カメラで現地の様子を記録していた。息子のコリ・ファラウ氏は映像の中で、「島民の多くが避難した教会以外の建物は津波の影響を受けたようだ」と述べていた。

ファラウ氏はBBCワールドニュースのインタビューでも当時の様子を語っている。

ファラウ氏は、「津波にさらわれた時はとても怖かったが、私は神を信じていたので、救われたのだろう」と語った。

またファラウ氏は漂流した後の状況について、「海は私をぐるぐる回し、海底に引きずり込もうとしてが、丸太をつかみ九死に一生を得た」と述べた。「私は今回、海には生と死があると理解しました。島にたどり着いたとき、私は生きていると確信しました...」

漂流物語はトンガだけでなく世界の注目を集め、一部のソーシャルメディアユーザーはファラウ氏を「アクアマン」と呼んだ。

一方、トンガを支援する活動は20日に本格化し、ニュージーランドとオーストラリア軍の輸送機が現地入りした。

フィジーとトンガをつなぐ通信ケーブルの復旧作業は数週間かかると見込まれている。

飲料水25万リットルを積み込んだNZL軍の艦艇も21日に本島のトンガタプ島に到着した。この艦艇は海水を淡水化するプラントを搭載しており、1日数万リットルの飲料水を生産できる。

国連は「最優先事項は飲料水の確保」と述べ、関係国にさらなる支援を要請している。日本はNZLとAUS政府と協力して飲料水などの物資を届ける予定。

NZLのメディアによると、これまでに市民3人の死亡が確認され、一部の離島とはまだ連絡が取れておらず、安否不明者は数十人にのぼるという。

トンガ政府は島民約10万人を保護するために非接触による支援の受け取りを提案しており、現地入りしたAUSとNZL軍は慎重に作業を進めている。トンガのコロナ症例は昨年10月に報告された1件のみ。

オーストラリア公共放送(ABC)によると、20日にAUS基地を離陸した輸送機の乗組員1人が飛行中の検査で陽性と診断され、帰還を余儀なくされたという。

艦艇はより多くの物資を輸送できるため、輸送機よりはるかに効率的である。軍は首都ヌクアロファの港からヘリコプターなどを使った離島に物資を届ける予定と伝えられている。

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