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ミャンマー軍、ドローンと人海戦術で反政府勢力に圧力、激戦続く

国軍は2024年2月に徴兵制を強化し、18~35歳の兵役を義務化したことで、7万~8万人の新たな兵力を確保した。
2021年3月8日/ミャンマー、ヤンゴン、治安部隊(EPA通信)

ミャンマーの軍事政権は2021年2月のクーデター以降、主要な都市や国境地帯で反政府勢力に領土を奪われるなど苦戦が続いてきたが、この数カ月で戦術の転換を図り、ドローンや「人海戦術」を駆使して反撃に乗り出している。ロイター通信が複数の関係者の証言として、16日に報じた。

それによると、国軍は2024年2月に徴兵制を強化し、18~35歳の兵役を義務化したことで、7万~8万人の新たな兵力を確保した。これは21年のクーデター後、大幅に兵力が減少した軍にとって戦力補充の意味を持つが、未訓練の新兵も多く、その運用には批判も出ている。

戦術面では、軍は多数のドローンを導入し、偵察や攻撃任務に活用している。中国、ロシア、イラン製を含む19種類以上のUAVを使用し、偵察ドローンが得た情報をもとに爆撃や砲撃を精密に実施する戦術も採られているという。これにより、従来より精度の高い空爆が可能になり、反政府勢力の防衛線に大きな圧力をかけている。

さらに、戦闘指揮体制の見直しも進められている。経験豊富な将校の指揮下に部隊を再編し、戦線での休息時間を確保するなどの改善策を講じた結果、前線での統率力が向上しているとの指摘もある。これに加え、下級指揮官でも空爆支援を直接要請できる権限が与えられたことが、局地戦での迅速な対応を可能にしている。

一方で、噂される「人海戦術」は訓練不足の新兵を大量に投入し、反政府勢力の防御を突破しようとするもので、一部の戦闘地域では兵士が次々と前進させられる光景が見られたと地元の反政府勢力が語っている。彼らは「1人が倒れると、別の兵士がすぐにその位置に送られる」と証言し、この戦術が高い犠牲を伴う可能性を示唆している。

こうした動きは今年10月に中部地方で数日間続いた激戦でも確認され、反政府勢力は激しい爆撃と人海戦術の連続で圧力を受け、最終的に戦線を後退せざるを得なかったという。

また、中国政府の支援が軍政側に有利に働いているとの分析もある。中国は外交的・経済的手段を通して一部の武装勢力に対して停戦圧力をかけ、武器供給ルートの遮断を進めたとされ、これが反政府側の弱体化につながっているとの指摘がある。

こうした戦術転換は年末(2025年12月28日~)に予定されている総選挙を見据えた軍政の戦略的な動きとの見方もあり、今後も戦闘は激化し、国土の奪還を巡る攻防は続く可能性が高い。

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