◎男性は植民地時代に施行された扇動罪に違反したとして逮捕された。
香港のメディアは20日、イギリス総領事館近くでエリザベス女王(Queen Elizabeth II)に敬意を表した香港人男性が逮捕されたと報じた。
報道によると、男性は19日夜、総領事館前で英国国家や2019年の民主化デモに関連する曲をハーモニカで演奏したという。
BBCニュースは警察筋の話を引用し、「男性は植民地時代に施行された扇動罪に違反したとして逮捕された」と報じている。
香港は1997年にイギリスから独立。中国の統治下に置かれた。
香港は中国の特別行政区であり、「一国二制度」の原則に基づき、一定の自由を保障されるはずだったが、2020年に施行された国家安全維持法は民主化勢力を叩きのめし、独立系メディアの活動を禁じ、子供向けの本まで取り締まるようになった。
この数十年、扇動法で逮捕された人はほとんど確認されていなかった。
しかし、当局はこの数カ月、扇動罪で多くの市民を起訴し、今月初めには扇動的な児童書をオンラインで出版したとして、言語療法士5人に実刑判決が言い渡された。
フェイスブックで共有された映像には、総領事館前に立つ男性がハーモニカで2019年の民主化デモで何度も歌われた「香港に栄光あれ(Glory to Hong Kong)」を演奏している様子が映っていた。
当時、領事館前では女王の国葬が生中継され、多くの市民がこのハーモニカ演奏に合わせて香港に栄光あれを歌った。
この曲の歌詞は「民主主義と自由」を強く意識している。
香港の市民は先週、女王に敬意を表するために領事館周辺に長蛇の列を作った。イギリス以外でこれほど多くの市民が女王のために並んだのは香港だけである。
中国共産党は「一国二制度」の原則の下、香港を統治し、独立から50年間は「外交と防衛を除く高度の自治」を保障することに合意した。
しかし、2019年の取り締まり、国家安全維持法、「愛国者」以外の政治参加を認めない法律が導入され、多くの専門家が「香港の民主主義は死んだ」と指摘している。