香港政府が国安法強化、反体制派の携帯電話やPCのパスワード取得可能に
今回の改正は23日に官報に掲載され、即日発効した。
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香港政府は23日、国家安全維持を目的とする法制度の運用規則を改正し、警察が捜査対象者に対して携帯電話やPCのパスワード提出を要求できる新たな権限を付与した。反体制的な動きを取り締まる姿勢を一層強める措置とみられている。
今回の改正は23日に官報に掲載され、即日発効した。対象となるのは国家安全維持法(国安法)違反の疑いがある人物で、警察は電子機器に保存された情報へアクセスするため、「パスワードや復号方法の提供」および「合理的に必要な協力」を求めることができる。拒否した場合は最大1年の禁錮刑と10万香港ドルの罰金、虚偽や誤解を招く情報を提供した場合は最大3年の禁錮刑と50万香港ドルの罰金が科される。
この改正は2020年に中国政府が導入した国安法の施行規則を強化するもので、政府が立法会の審議を経ずに行政権限で実施した。政府は声明で、国家安全を脅かす行為の「防止、抑止、処罰」をより効果的に行うための措置だと説明している。
さらに改正では、税関当局にも新たな権限が与えられた。逮捕の有無にかかわらず、「扇動的意図」があると判断された物品を押収できるようになり、取り締まりの範囲が一段と拡大した。これにより、出版物や電子データなども対象となる可能性がある。
こうした措置に対し、人権団体や法学者からは強い懸念が示されている。イギリスの研究者は、司法の許可なしに広範な捜査権限を与える点について、「プライバシーや公正な裁判を受ける権利を侵害する恐れがある」と指摘している。特に通信の秘密や個人情報保護の観点から、過度な権限拡大だとの批判が出ている。
一方、香港政府はこうした批判を一蹴。改正は基本法や人権保護の規定に合致し、「一般市民の生活や通常の活動には影響しない」と強調している。また、国家安全を確保することが社会の安定と経済活動の維持に不可欠だとの立場を示している。
香港では2019年の大規模な民主化デモを受けて国安全が導入されて以降、反体制派への取り締まりが強化されてきた。これまでに数百人が逮捕され、多くが有罪判決を受けている。著名な民主活動家やメディア関係者が長期刑を受けたことは、国際社会からも批判を招いてきた。
今回の規則改正はこうした流れの延長線上にあるものといえる。電子機器へのアクセス権を法的に明確化することで、当局は証拠収集能力を強化し、摘発をより容易にする狙いがあるとみられる。一方で、市民の自由や権利とのバランスをどう確保するかが、今後の大きな焦点となる。
香港の統治をめぐっては、中国本土との関係強化と自治の維持の間で緊張が続いている。今回の措置はその中での重要な転換点と位置付けられ、国際社会の関心も集まっている。今後、運用の実態や影響がどのように現れるかが注目される。
