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香港のメディア王ジミー・ライ氏に懲役20年、国安法違反

ライ氏は香港で最大規模を誇った民主派の有力紙「リンゴ日報(Apple Daily)」の創設者として広く知られ、長年にわたり中国共産党に批判的な立場を取ってきた。
2021年2月9日/香港の裁判所前、リンゴ日報の創業者ジミー・ライ氏(AP通信)

香港の裁判所は9日、著名なメディア企業家で民主化運動の象徴的存在であるジミー・ライ(黎智英、Jimmy Lai)氏に対し、国家安全維持法違反で懲役20年の実刑判決を言い渡した。これは中国共産党が2020年に導入した国安法に基づく最も注目度の高い裁判の一つであり、表現の自由や司法の独立をめぐる国際的な懸念を再び強める結果となった。

ライ氏は香港で最大規模を誇った民主派の有力紙「リンゴ日報(Apple Daily)」の創設者として広く知られ、長年にわたり中国共産党に批判的な立場を取ってきた。2025年12月に有罪判決を受けた際には、外国勢力と共謀して国家安全を損なう行為をしたこと、および扇動的な出版物を発行したことの罪で3件の罪状すべてで有罪となった。

裁判所は判決で、ライ氏がリンゴ日報を通じて香港と中国本土の政府に対する外国の圧力を求めるなど、国家安全を危うくする計画を主導した「首謀者」であったと断定した。今回の刑期は別件で服役中の懲役5年9カ月と合わせて科されることになる。

ライ氏は2020年8月の逮捕以来、反政府デモや政治的言論をめぐる複数の法的問題に直面していた。リンゴ日報は当局による資産凍結と幹部逮捕を受けて2021年6月に営業を停止、その後閉鎖された。これは香港における報道の自由が急速に後退している象徴的な出来事と捉えられている。

ライ氏は英国籍も有しているが、香港政府は二重国籍を認めない立場から領事支援を拒否してきた。ライ氏は糖尿病や心臓の問題を抱え、過去5年以上にわたり主に刑務所に収容されていた。人権団体は同氏の処遇を批判し、健康悪化のリスクを指摘している。

この判決に対して、欧米の政府や国際的な人権団体からは批判が相次いでいる。EUやイギリス政府、米政界の一部からは、香港における言論の自由と司法の独立が著しく侵害されているとの懸念が示されている。また、ライ氏を支持する市民や活動家は判決後も抗議の声を上げ続け、同氏を香港の民主主義の象徴と見なした。

ライ氏自身は判決当日、法廷で支持者に手を振る場面も見られ、家族の一部は国際社会に更なる支援を求める意向を表明した。息子はX(旧ツイッター)への投稿で、イギリス政府は父の釈放を求めるためにもっと積極的に動くべきだと述べ、外交的な介入を求めている。

一方で香港政府は、国安法は香港の安全と安定を維持するために必要であり、今回の裁判は法に則って行われたものだと主張している。支持者はこの判決が法の支配の下で、批評は政治的に偏ったものであると反論している。

今回の判決は、2019年の大規模な民主化デモ以降、中国政府の影響力が香港に拡大し、言論や報道の自由が制約されてきたことを象徴する出来事と位置づけられている。「一国二制度」という原則の下で維持されてきた香港の独自性が今後どのように守られるかは、国際社会の関心が集まる重要な課題となっている。

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