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香港裁判所、ジミー・ライ氏の詐欺罪判決を破棄

判事はライ氏が経営していた民主派の有力紙「リンゴ日報(Apple Daily)」のオフィス運用に関する詐欺罪について、検察がライ氏の「不正行為」を証明していないとして、原判決を破棄し、これに基づく刑罰の執行も無効とした。
香港のメディア王、ジミー・ライ氏(AP通信/Vincent Yu)

香港の高等法院は26日、著名なメディア企業家で民主化運動の象徴的存在であるジミー・ライ(黎智英、Jimmy Lai)氏の有罪判決を取り消した。判事はライ氏が経営していた民主派の有力紙「リンゴ日報(Apple Daily)」のオフィス運用に関する詐欺罪について、検察がライ氏の「不正行為」を証明していないとして、原判決を破棄し、これに基づく刑罰の執行も無効とした。

ライ氏は香港のリンゴ日報の創業者であり、民主派の象徴的存在として中国本土の統制強化を強く批判してきた人物である。2022年12月、裁判所はリンゴ日報が本社ビルの賃貸条件に違反し、同ビル内でコンサルタント会社の業務を隠して行っていたとして、ライ氏に対し5年9カ月の実刑と罰金200万香港ドルの有罪判決を言い渡していた。また同事件ではネクスト・デジタル(壱伝媒)の元幹部であるウォン・ワイキョン(黄偉強、Wong Wai-keung)氏も詐欺罪で有罪となり、21カ月の刑を受けていた。

しかし高裁は、検察がライ氏とウォン氏による犯罪行為、賃貸条件違反を伴う不正行為を立証していないとして、詐欺の要件を満たしていないと指摘した。判事は下級審がライ氏の行動や意図を考慮していなかった点を問題視し、両被告の有罪判決と刑罰を取り消した。

ライ氏は1950年代生まれの78歳。1995年にリンゴ日報を創刊し、香港における独立系メディアの代表格として広く支持を集めてきた。一方で中国政府や香港当局からは批判的な姿勢を理由に強い圧力を受け、2021年には同紙が資金凍結と人員逮捕を受けて閉鎖に追い込まれた。

今回の詐欺判決取り消しはライ氏にとって大きな法的勝利となるが、別件の国家安全法違反に基づく有罪判決により20年の懲役刑を受けて服役中である。この国安法裁判では、外国勢力との共謀や扇動的な出版行為が問題とされ、ライ氏は複数の重罪で有罪となっている。高裁による詐欺判決の破棄は、国安全裁判には影響を及ぼさない。

ライ氏の支持者や国際的な人権団体は今回の判断を歓迎するとともに、国安法違反での長期刑が香港における言論や報道の自由に対する深刻な制約を象徴しているとして批判を続けている。一方、香港政府は司法手続きを尊重し、法的判断に基づく措置だとする立場を示した。

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