ポリオ予防接種チーム襲撃、警察官1人死亡 パキスタン南西部
容疑者は徒歩で逃走したとみられ、警察が行方を追っている。
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パキスタン南西部バルチスタン州でポリオワクチン接種の警備に当たっていた警察官が殺害された。地元警察が27日、明らかにした。
それによると、事件は州都クエッタ郊外の町で発生。医療従事者にケガはなかったという。
容疑者は徒歩で逃走したとみられ、警察が行方を追っている。
警察は声明で、「女性保健員が家の中で子供たちに経口ワクチンを投与していたところ、襲撃者が外にいた警察官に向けて発砲した。警察官は病院に搬送される途中、息を引き取った」と述べた。
犯行声明を出した組織は確認されていないが、反政府勢力バルチスタン解放軍(BLA)や同国最大の武装勢力TTP(パキスタンのタリバン運動)に疑惑の目が向けられている。
シャリフ(Shehbaz Sharif)首相は声明でこの事件を非難し、亡くなった警察官に哀悼の意を表した。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
パキスタンと隣国アフガニスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタンでは昨年、ポリオ患者が急増し、74人の感染が報告された。今年1月から5月中旬までの感染者は10人となっている。
同国では1990年代以降、このキャンペーンに参加した200人以上の医療従事者や護衛の警察官が殺害されている。
イスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。