▽政府は昨年から全国ポリオワクチン接種キャンペーンを実施中。数千人の警察官を配備し、家々を回って子供たちにワクチンを接種する保健員を保護している。
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パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州でオートバイに乗った武装集団がポリオワクチン接種の警護に当たっていた警察官を射殺した。警察が19日、明らかにした。
それによると、事件は同州バジュール地区で発生。武装集団は現場から逃走した。医療従事者にケガはなかった。
政府は昨年から全国ポリオワクチン接種キャンペーンを実施中。数千人の警察官を配備し、家々を回って子供たちにワクチンを接種する保健員を保護している。
バジュール地区の保健当局は数日前にキャンペーンを再開したばかりだった。
犯行声明を出した組織は確認されていないが、同国最大のイスラム過激派TTP(パキスタンのタリバン運動)に疑惑の目が向けられている。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
パキスタンと隣国アフガニスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタン当局によると、同国では1990年代以降、このキャンペーンに参加した200人以上の医療従事者や護衛の警察官が殺害されているという。
パキスタンは昨年、74人のポリオ感染者を報告。今年の感染者は2人となっている。
イスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。