▽事件は州都クエッタ郊外の地区で発生。医療従事者にケガはなく、犯行声明を出した組織も確認されていない。
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パキスタン南西部バルチスタン州でオートバイに乗った武装集団がポリオワクチン接種の警護に当たっていた警備員2人を射殺した。警察が23日、明らかにした。
それによると、事件は州都クエッタ郊外の地区で発生。医療従事者にケガはなく、犯行声明を出した組織も確認されていない。
事件発生時、医療従事者は近くの通りで子供にワクチンを接種していた。
このキャンペーンは2日前に始まり、1週間かけて全国の児童がポリオワクチンを接種する予定だ。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
パキスタンと隣国アフガニスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタンでは昨年、ポリオ患者が急増し、74人の感染が報告された。今年1月から4月初めの感染者は6人となっている。
パキスタン当局によると、同国では1990年代以降、このキャンペーンに参加した200人以上の医療従事者や護衛の警察官が殺害されたという。
イスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。