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豪シドニーで銃乱射事件、11人死亡、容疑者1人射殺、1人逮捕

事件は日没前の午後6時45分ごろ、ボンダイビーチの公衆イベント会場付近で発生した。
2025年12月14日/オーストラリア、シドニー近郊ボンダイビーチ、銃撃事件が発生した現場(AP通信)

オーストラリア・シドニー近郊のボンダイビーチで14日夕方、ユダヤ教の祭日「ハヌカ」のイベント中に銃乱射事件が発生し、、少なくとも11人が死亡、30人余りが負傷した。

当局はテロ攻撃として捜査している。同国でこの規模の死傷者が出た銃乱射事件は30年ぶり。

事件は日没前の午後6時45分ごろ、ボンダイビーチの公衆イベント会場付近で発生した。当時はハヌカの初日を祝うため、地域のユダヤ教コミュニティのメンバーや観光客ら約1000人が集まっていた。現場近くの歩道橋上にいた2人の男が突然発砲し、混乱が広がったという。

警察と治安部隊が急行し、1人の容疑者をその場で射殺、もう1人を逮捕した。逮捕された容疑者も被弾し、意識不明の重体と伝えられている。

当局は現場で複数のIED(即席爆発装置)とみられる爆発物も発見し、爆発物処理班が対応に当たった。

犠牲者の中にはボンダイのユダヤ教組織の指導者が含まれていると報じられている。負傷者には子どもや警察官も含まれているという。

目撃者は銃声が連続して響き渡る中で人々が逃げ惑い、砂浜や周囲の建物に避難したと話している。ある参加者はAP通信の取材に対し、「突然何十発もの銃声が鳴り響き、泣き叫びながら必死に逃げた」と述べ、恐怖の瞬間を語った。

アルバニージー(Anthony Albanese)首相は声明で、この攻撃を「理解を超えた悪意ある行為」と断じ、被害者とその家族への哀悼の意を表した。また、ユダヤ系コミュニティに対して連帯を示し、「このような暴力は決して容認されない」と強調した。

シドニー東部には国内最大級のユダヤ人コミュニティが存在し、日常的に宗教行事や文化的イベントが行われている。警察は今回の事件が特定の集団を狙った差別的・敵対的な動機によるものとみて、反ユダヤ主義を背景とするテロとして捜査を進めている。

現場周辺では厳重な警戒態勢が敷かれ、救助隊が対応に追われている。負傷者はシドニー内の複数の病院に搬送された。警察は別の容疑者がいる可能性についても調べており、地域住民に対しては当面の間、事件現場付近を避けるよう呼びかけている。

オーストラリアは1996年のポートアーサー銃乱射事件以降、厳格な銃規制を導入。このような銃撃事件は極めて稀であり、今回の攻撃は国内の治安状況に衝撃を与えている。政府は銃規制の見直しや宗教コミュニティの安全対策強化に向けた議論を進める意向を示している。

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