◎国連は6月、スリランカの市民170万人が緊急の人道支援を必要としていると報告していた。
国連は8日、前例のない経済危機に直面しているスリランカで緊急の人道支援を必要とする市民が340万人に達し、この数カ月で倍増したと警告した。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)など、スリランカで活動する複数の国連機関は8日の共同声明で、「緊急人道支援7900万ドルが集まったが、支援を必要とする人の数が急増したため、さらに7000万ドルが必要」と呼びかけた。
また国連は、2シーズン連続の不作、外貨不足、インフレによる購買力低下が危機を劇的に悪化させていると指摘した。
国連は6月、スリランカの市民170万人が緊急の人道支援を必要としていると報告していた。
スリランカは今年、返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。
外貨が枯渇した結果、輸入食品・ガソリン・医薬品などの必需品が極端に不足した。また有機農業を推進するために化学肥料の輸入を禁じた結果、過去2シーズンの農作物の収穫高は半分以下に落ち込み、食料危機に拍車をかけた。
国連は「妊娠中の母親や児童を含む約210万人に食料を供給し、農家や漁師約150万人の生活支援を目指す」としている。
スリランカ政府は国際通貨基金(IMF)と29億ドルの救済措置について協議中だ。
物価の高騰や食料・医薬品の不足に対する抗議デモは数カ月におよび、ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の退陣につながった。
国連によると、南アジア諸国の貧困率は昨年の13.1%から25.6%(10月末時点)に倍増したという。
スリランカの先月の消費者物価指数(CPI)が前年同月から73.7%上昇し、過去最高を更新した。